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2008年02月04日

●2007合格者体験記特集

「インタビュー企画第5弾」
 2007合格者体験記特集


昨年度芸大に合格した学生の体験記がwabや入学案内に載っていますが、
こちらにまとめてみようと思います。
それぞれにリアリティーがあります。
参考にしてください。

●ターニング・ポイント
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川島大幸(2浪/静岡・私立浜松日体高等学校)
東京芸術大学美術学部彫刻科、金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科彫刻専攻、東京造形大学造形学部美術学科彫刻専攻、東北芸術工科大学芸術学部美術科彫刻 合格
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 受験を振り返ってみると、自分と対話をすることができる良い機会だったと思う。それが顕著だったのは、2浪目の時だ。
 現役の時は、できることを精一杯やった。1浪の時は、何でも吸収してやるという気持ちで基本を大切に過ごした。そして、2浪の時が僕にとっての「ターニング・ポイント」だった。物事を客観的に見ることができる様になり、先生に言われることも理解できる様になったと思う。先生達の雰囲気もそうだったが、自分の中でも実技を変えないといけないと考える様になった。去年の先輩達を見ていても攻めの気持ちを持っていたなと思った。自分は今何をするべきかを考える様になり、実行に移すことができたと思う。2浪の最後の1週間前まで、今までやってきたことをまとめることができなかったが、最後はまとめることができて良かった。色々なバリエーションのある先生や友達がいたから自分を見直すことができたと思う。
 2浪目で心に残っている言葉がある。「本番は、僕は今までこれだけのことをやってきたんだぞ、というのを絵にしてくれれば良い。」と、「受験は博打じゃない。頑張って続けてやって実力がつけば受かる。」である。2浪目で悩みが多くなったが、この2つの言葉が支えになっていた。
 お互いを高められる友達、バリエーション豊かな先生や教務の人達のお陰で楽しく充実した予備校生活を送ることができた。


●98+365×2+346の感謝
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市川めぐみ(3浪/滋賀・県立東大津高等学校)
東京芸術大学美術学部彫刻科、多摩美術大学美術学部彫刻学科、武蔵野美術大学造形学部彫刻学科 合格
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 高3の夏、地元を離れる事に対する両親の反対を、高校の美術教師にも手を貸していただき賛成へと漕ぎつけた。そうまでして、「どばた」に行きたい理由があった。日本で一番規模の大きい美術系予備校だからだ。生徒の人数も多けりゃ講師方の人数も多く、受けられる指導のバリエーションもある。というのは、人生初の受験失敗の後に気付いた事だが・・・・・・
 私は2浪まで、芸大1筋でやってきた。高3、1浪、2浪と、3度1次通過していた。後もう1歩のところで手が届かない。私に何が足りないのか。その根源は何処にあるのか。3浪の春、狼狽する日々が始まり、20年そこらしか生きていないのに、「泥水を啜る」とはこういう事かと感じる事もあった。そうなるともう、どれだけ真剣に立ち向かっても、力づくでなんとかしようとしても、思う様にモノを創造できない。感じた事と裏腹に手だけが動き表現にならない。12月一杯まで、そんな調子でジッタんバッタんともがいていた。
 心の糸が修復不可能に切れてしまう直前で、いつも私はその細く弱い糸を、繋ぎ止めていたその行為は、とてもじゃないが私1人でできたものではない。自信も自尊心もとっくに失っていたし、当然何を信じれば良いか、その答えを周りの全てに頼る他なかった。坂道を転がる小石になった私を海へ落ちてしまわない様に、どれだけ加速しても受け止めて丘へ投げ飛ばしてくれる先生方がそこには居たし、フレッシュな眼差しでひたむきに闘う現役生や1浪生、私よりも大人な精神を持つ2浪生も居て、自分を奮起させてくれる強烈な刺激を与えてくれた。
 最後の芸大試験前日、一生忘れないであろう言葉を私は耳にした。「自分の持っている感覚を全部出して来い。」私はやっと答えを見付けた。何度も何度もへし折られていた自信を、試験当日形にする事ができたのだ。
 ここまでやり切れたのは、周りの全てのお陰だ。何かが1つでも欠けていたら、今の私は存在しない。


●努力と根性
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謝花翔陽(1浪/埼玉・私立城西大学付属川越高等学校)
東京芸術大学美術学部彫刻科 合格
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 1年前、浪人が決まった時、僕は覚悟をしました。この1年は「どばた」に死のうと。
 成功に必要なものは努力と根性の2つだけであると僕は信じています。だから僕は1年間無遅刻無欠席、ほぼ全ての早朝アトリエと夜間の居残り制作を行いました。
 自分よりも経験や才能のある人がいる。彼らと対等に渡り合うために不器用な僕に残された手段は、人一倍、人十倍の努力をすることでした。どんなに辛くても諦めず、根性でついて行くしかなかったのです。
 いくらやっても上手くいかず、周りから置いて行かれる時もありました。なんでこんなにやっているのにうまくいかないのかと悩んで卑屈になった事もありました。そしてその努力の結果は、受験で確実に現れたのです。
 毎日休まず「どばた」に行き、アトリエのドアは静かに閉め、毎日掃除をする。当たり前の事ですが、そうする事で精神が鍛えられ技術が伴いました。
 小さな積み重ねが大きな流れを作る。今時流行らないスポ根モノのようですが、勝てば官軍!
 最後に、僕を導いて下さった先生方、共に切磋琢磨した仲間達に感謝したい。ありがとうございました。


●大切な事
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中里勇太(2浪/群馬・県立西邑楽高等学校)
東京芸術大学美術学部彫刻科、多摩美術大学美術学部彫刻学科、東京造形大学造形学部美術学科彫刻専攻 合格
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 私が実技をする時に大切だと感じていた事は、彫刻的知識はもちろんですが、「対話」する事です。この対話を、自分自身の作品や、対象物に対して行えた時に、最大限の結果を得る事ができると思っていたからです。
 しかし私は、ここぞという時につい力んでしまって、対話をする事を忘れ「結果を出さなければ、完成させなければ」という気持ちだけが先行して失敗してしまった事が何度もあり、その度に対話をする事の重要性を感じていました。
 そういう経験を生かし、リラックスして自分自身と対話し、自己表現を見付けだす事や、対象物と対話しその物の特徴を引き出す事、そしてそれが冷静にできた時には自然と結果がついてくると信じていました。普段から実技をする時には対話する事を意識できていた事や芸大試験本番でも、対話する事を怠る事なく臨めた事が、合格できた最大の理由だと思っています。そして、東京芸術大学合格という、1つの目標を達成した今、また新たなスタートラインにたった気持ちで、努力していこうと思っています。もちろんこの学校で教えてもらった、彫刻的な意識や、対話をするという事を忘れる事なく、自分の作品作りの中に生かしていこうと思っています。
 最後に、2年以上もの長い間、熱心に指導して下さった先生方、本当にありがとうございました。

●前進
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大石雪野(現役/神奈川・県立神奈川総合高等学校)
東京芸術大学美術学部彫刻科、東京造形大学造形学部美術学科彫刻専攻 合格
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 私がすいどーばたで過ごした2年間の中で、最も意義があったのは、自分を高めるための行動を惜しまなかったことだと思っています。
 彫刻が強いのは「どばた」と聞いて、矢も盾もたまらず以前通っていた予備校をやめ、すいどーばたの門を叩いたのは、高校2年の春でした。私はまだ受験生ではありませんでしたが、できるだけ早く、多くの経験を積みたいと思い、その頃から夜間部に通わせていただきました。それからはただひたすらに彫刻と向き合う毎日でした。自分の課題をひとつひとつ駆逐していき、着実に上手くなっていく手応えを感じられ、とても楽しい日々を過ごしましたが、その一方で、自分の作品がだんだんと技術に凝り固まり、色褪せていっているという事実に苦しまされることになりました。そんな中助けられたのが、友人や教師の存在です。彼らに、時には力を抜き、素直に感動することの大切さを教えられ、最後には克服することができました。「どばた」で得た人とのつながりは、何にも代え難い宝になったと思います。
 私は常に危機感を抱えていました。いくら実力をつけても、満足できたことは1度もありませんでした。自分はもっと成長できる、と信じる事が、私を支える力となりました。これからも自分の可能性を信じ、生涯邁進し続けたいと思っています。