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2011年09月27日

●もてぎ里山アートフェスタへ!

スイカ電車(真岡鐵道)に乗って。
都心から一転、のんびりと時間が流れる栃木の茂木へ。

台風の後の快晴、最高の天気。
阿部さんの作品が展示されている野外展、『もてぎ里山アートフェスタ』に行ってきました!!
長旅でしたが作品はもちろんの事、展示会場の空気や土地、人を直に肌で感じられる事ができた、とても充実した1日でした。


展示会場は、城山公園。茂木城があったというだけあり、坂道が続きます。


いざなわれる様に作品が現れました。染め物の作品が空中に張られていて奇麗でした。


景色に目を向け新鮮な空気を満喫しながら、ゆっくりゆっくり坂道を上って行くと突如扉が!
そんな演出?思う大人な感想なんかを簡単に越えて、この扉に心はワクワク。
避けて通る事もできるけど、じんわり楽しみながら扉を通ってみたり。
非日常の世界へ気持ちごと持って行かれました!


この中に、焼き物で出来た作品があります。横には水が流れていて、野外展ならでは。焼き物で、この形か!?と、主張はしないけど妙に存在感のある作品でした。


作品の上にトンボが!


脇の道のひっそりとした空気が漂う木陰に、何とも華奢な作品がありました。
線がとても奇麗で、重なりあって生まれる空間は透明感があり、目を引きました。


白い扉と山下に見える街の景色と青い空。
普段は、陶芸をやられている作家さん。そこに、このアートフェスタの面白さが見え隠れします。


芝生の上にこの作品!!!焼き物ですからね。衝撃的でした。


漆作家さんの作品です。漆と色彩、中々普段目に出来ない貴重な作品との出会い!


そしてそして、ゆっくり山を登り、見えて来た阿部さんの作品。


緑に囲まれ、広い空間の中に作品は存在していました。

DSCN4575.gif
座って見たり、作品の中へ立って見たり、触ってみたり、考えてみたり。
作品を見ながら、芝生の上でのんびり。


この大きな自然に囲まれながら、一人の人から作りだされた3日間しか存在しない空間を、どうやって自分は受け取るのか?その場に居るという事はどういう事なのか?
色々な事も考えながら、、
ただただ、言葉にできない素直に感じた思いを楽しみたいと作品を眺めていました。



作品を説明して下さる阿部さん。


作品への意思や作品の在り方などを伺うと、こう感じたのはこういう事だったのか!と、とても興味深い感動を覚えました。
おこがましいのですが、作品が自然や空間に、勝つ負けるといった事ではなく、とても見る事が楽しい空間でした。

陶芸、染め物、漆、など相手があっての作品を手がけておられる作家さん達が、そこ意外の立ち位置で作品を作る事。
野外での作品展開。
一人の脳の中では済まず予想外な事もたくさんあるであろう中、まさに普段はやれない事への挑戦。
違う時間軸で様々な生き方をしているメンバーが、同じ時間と場所を共有する。
そんな流れを含んだ作品が同時に展開される場所も、もてぎ里山アートフェスタならではだと思います。

自然の中で見せると言う事、またフェスタ自体の企画など、沸々と熱い思いを感じさせられる、刺激を受けながら楽しくもある、忘れられない1日でした。

作家とは?アートとは?

                             氷室 幸子


2011年06月08日

●ジパング展 吉田朗の作品を観て。

先日、日本橋高島屋で開催中のジパング展を観て来た。
ミヅマアートギャラリーのディレクター三潴末雄さんが中心となって企画されたこの「ジパング展」。
今、注目されている現代美術作家の作品が多数出品されている。
日本のアート市場を知る上で見逃す訳にはいかない展示である。
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選ばれた31人の作家の中には、まだ若い30代の作家も何人か含まれている。
その中に、すいどーばたの講師である吉田朗が選ばれている。
私は、吉田の作品が好きで、「連載彫刻シリーズ」をすべて観た数少ないファンの一人である。
個人的には、「犬張り子シリーズ」のほうが、見た目とメッセージのギャップがあり面白いと思うのだが、今回は吉田のメッセージがストレートに一番強く含まれている「ボサツX、ボサツZ」が展示されている。どちらの作品にしても、完成度、メッセージ性、彫刻的な形態、すべての質の高さは目を見張るものがある。売れっ子作家の中にあっても決して見劣りすることのない作品である。
内輪で褒めてばかりで気持ち悪い感じもするが、私の率直な感想である。
皆さんも是非、足を運んでみてください。

オフィシャルHPジパング展

詳しい情報は展覧会情報

日本橋高島屋の8階ホールでこういった現代美術の展示をするのは初めてだそうだ。
ミュージアムショップ並みに展覧会グッズが並んでいたあたりにも高島屋の意気込みを感じる。20日まで。
                西嶋雄志

2010年12月22日

●オープニング Re:2010 〜さかのぼるプロセス - from worktable 〜

すいどーばたの彫刻科教員によるグループ展が今日から始まりました。
作業台に見立てた展示台に、作品の他にも制作途中のものを置いたり、壁にはドローイングやメモを大量に貼り出して、作品が出来上がるまでのプロセスを追えるような展示になっています。また、搬入時から空間が出来上がるまでの様子を撮影し、スライドショーで状況の変化を視覚化しています。
出展者全員が、こうした新しい展示への試みを楽しみながら取り組めたこと、そしてその状況を内包した空間を成立させたことは、今後の制作に生きるのではないかと思います。
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オープニングには多数の学生が来てくれました。普段指導している講師やお世話になっている教務さんのことが、別の側面から見れたのではないでしょうか。
おおいに刺激を受けてくれたらと思います。
講習会後期もエネルギッシュに制作してください。
                          西嶋雄志

2010年06月13日

●自由を探る。

主要な美術大学の彫刻科の受験では水粘土を使った彫刻の試験がある。
彫刻をまことに大雑把に分類すると「カービング(削る)」と「モデリング(盛る)」に分けられるのだが、受験で出題されるのはほとんどこの「モデリング」のほうである。
水粘土を使った「モデリング」を「彫塑」あるいは「塑造」と呼ぶが、何故「彫塑」が受験に出題されるかというと、基礎的な立体感覚の確認がしやすく、個性も見ることができるから。
「彫塑」の利点をいくつかあげると、「手」以外に道具をあまり使わず、短時間である程度形になり、粘土を取ったり付けたりのやりとりをしながら制作ができる。また、作り終わったら壊してまた別のものを作れ、経済的にも優れているため、習作にはもってこいである。
だから、当然この予備校でもほとんどの立体制作は「彫塑」である。

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しかし、「カービング」でないと味わえない彫刻の魅力もある。簡単には形にならない硬い素材との格闘、固まりの中に形を見つけるデッサン力、それらを段取りする計画性など非常に面白い。
そういったこともあり以前から授業の中で「実材実習」として木か石をカービングする授業を一年に一回行ってきた。一週間程度の時間の中での課題なので大きさも両手に収まる程度のもの。
最初のうちは、テーマも「自分の体の一部」など観察したものを再現するというものだった。
限られたテーマや素材の中で、当時の学生は慣れない作業の中から面白い作品を生み出してくれた。
そんな中、時代の流れか数年前より学生の中から自由なテーマを求める声が上がり始めたので、初めてテーマを「自由」にし、素材に石膏も加えてみた。そうしたところ思っていた以上に内容や素材の扱いなど作品の幅が広がり、色を塗る学生やインスタレーションをする学生が現れ始めた。

ここまでくると、もう「カービング」とか「モデリング」といった枠も外し、それらも含めて表現方法自体から「自由」にしたほうが良いだろうということになった。

こういった流れの中で徐々にカタチを変えて出来上がってきた「自由制作」。
そしてそれらを発表する「自由制作展」を昨年から始めた。
では「自由」って何?
「自由」っていうのは難しい。何でもありというのとも違う。
予備校生が授業の中でこれをどう成立させるか。
制作時間、制作場所、展示空間、展示期間、予算、素材、準備期間などの限られた条件の中でいかに自分の表現ができるか。
コンセプトをどう探り出すか。社会に目が向く人もあれば、自己の深層を見つめる人もいる。素材から入る人もいる。日常のささやかなことに目を向ける人もいる。過去に遡る人もいる。
この「自由制作」では約一月の準備期間と一週間の制作時間と一週間(人によっては数時間)の展示期間とすいどーばた美術学院内での展示ということを条件としている。展示方法や展示場所、素材は場合によっては交渉次第。予算は自分との相談。作品プラン提出から設置希望書の提出もする。
これら全てをひっくるめて「自由制作」ということにしている。

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この一月余り「自由」を探った試行錯誤の結果がカタチとなって現れた作品たち。
その中でそれぞれの「足掻き」「もがき」が何とも言えずいい。
画廊や美術館で観る洗練されたものもいいが、この初めてに近い
捻り出された作品たちを観れるのは、私たち予備校講師の特権かもしれない。
まだ作品と伝えたいことがうまく結びついていなかったり、計画通りに進まず仕上がらなかったり、予算が足りず計画を変更したりしたものもあったが、皆それぞれに格闘した痕跡が素敵でした。

その痕跡の展示が20日までの間、観ることができる。
すいどーばたの内部のみの展示だが、最終日はOPENコンクール
となっているので、参加者は昼休みや採点中に観ることができるので
覗いてみてください。

最後に、今回各講師と教務さんにそれぞれ賞を決めてもらうことにしたのだが
失敗だったかな。
それぞれすばらしくてとても選べないし選ぶ必要性もなかったかな。
無理に一つに絞っていただいた皆さんすみませんでした。
またまた反省です。
                     西嶋雄志

2010年05月16日

●テラコッタで作品を!

 講師ブログ初書き込み致します。竹花です。
私は主にテラコッタで、彫刻作品を制作しています。
素材の魅力に魅かれて塑造的な感覚で制作出来るおもしろさを感じます。

6月6日の日曜日から始まるテラコッタコースがあります。
 テラコッタの粘土を使って、テーマやコンセプトも、自由に作品を制作します。
完成後には、すいどーばたの本-B前ギャラリーにて、展示会を行います。
毎年、良い作品が並んで楽しい展示になっていますよ。
 講師には、東京藝大大学院修了の足立哲史さんと私の2人で担当します。
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*(6月20日は彫刻科のOpenデッサンコンクールがあり、お休みです)

時間は日曜日の11:00〜15:00まで。コース修了後には、ゆっくり日曜日を過ごせますね。
楽しくテラコッタで作品を造るチャンスです。
(^0^)/詳しくはこちらへ→http://homepage.mac.com/takehana2/koukaikouza2007t.html
参加自由ですので、皆さんぜひどうぞ!!   竹花 哲

2010年04月30日

●クラス決め。

今日夕方から講師会議を開き、ゴールデンウイーク明けからの新クラスのメンバーを決めました。
例年と違う分け方をしましたので、皆さん楽しみにしていてください。
詳しくは5月6日朝のレクチャーのときにお知らせします。

それにしても今日のコンクールの全体講評は全然うまく話せなかった・・・。
緊張したのか、慣れない主任として力が入ったのか・・・、クドくなってしまった。深く反省です。
そのうち慣れるので勘弁を。
↓こんな風にふさぎ込んでいます。
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画像は春休みに行った彫刻の森美術館で撮ったゴームリーの作品。
私の好きな作家です。            西嶋雄志