« バランス | メイン | いつもスッキリと! »

2010年10月23日

●素描道場

やっぱり最後は素描力がモノを言うでしょう!!ということで、秋のこの時期に素描道場なるものを開いてみました。一週間に一枚、空き時間を利用し、原則途中指導ナシで学生に挑んでもらいました。中には自信満々でスマッシュヒットをイメージし講評に参戦した学生もいましたが、そこは絶対的自主的参加(能動的)のためにその講評は普段に増してシビアに厳しい内容でした。各講師からキツイコメントが飛び交う中、学生達には悔しく、つらかったとは思いますが、素描力と一緒に副産物として、へこたれずタフであり向上心の芽生えとモチベーションの持続力の獲得をしてくれればと思います。

2010_10_27_DSC_1720.jpg

素描力とは何か?この問いをうやむやにし枚数を重ねても闇雲なだけでしょう。自らの経験を基に思考し考え(答え)を導き出すのが妥当ですが、一つ言えるとすれば、モチーフの印象を決定する数多くの要素から観察を通して「素」選び出し、それを羅列ナシに順序(リズム)を大切に描き起こす力ではないでしょうか。また気になる石膏デッサンと素描の関係をいえば、素描の体系の中の一つの極に石膏デッサンは含まれ、この考えをベースとすれば石膏を描かずとも素描力があれば石膏デッサンに対応でき、各種目(石膏デッサン、素描、塑像など)のリンクが稼動していれば、またその逆も然りなのです、ということも言えます。
秋から冬へ向かうこの季節、目の前の断片的な結果に躍起にならず、ドッシリと腰を落ち着け観察を通した素描力をしっかりトレーニングしてください。格好つけるなら人には見せない影の鍛錬です。また途方もない反復の果てで培った描き起こす力(素描的インナーマッスル)は頭を通り越し、モチーフからの感受を目から手にそして画面にダイレクトに直結させる能力になるでしょう。それの獲得は相当心強いです。自分に不利な局面に陥っても自動的に機能しはじめ、局地脱出の突破に大きく貢献します。まさに武装です。そしてそれの獲得に費やした時間は自分の根拠ある自信となり、ぶれない努力からの経験は裏切らない証明でもあるのです。
                               阿部光成