2014年11月アーカイブ

2014全国公開実技コンクール特集!

「インタビュー企画第24弾」
 2014全国公開実技コンクール特集

                       担当 山口

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採点風景

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公開コンクール終了後


ーすいどーばた美術学院講師8名の採点総評コメント掲載ー
毎年公開コンクールの講評時には、時間の関係で講師一人一人から総評をお話頂く事が出来ません。そこで今年もコンクール採点直後に各講師からコメントを頂きました。
採点直後の新鮮なコメント、是非今後の制作に役立てていただければと思います。

今回のコンクールを振り返りながら読んでみて下さい。
文章は、送られてきた順に掲載してあります。


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すいどーばた美術学院講師 山口諒子 (2日 21:05)
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コンクールお疲れ様でした!
いつもの力は発揮できたでしょうか?


今回のコンクールは、正直なところ採点がとても難しかったです。
上位を決める際、普段は自分の中でのトップ3から順に決めているのですが、今回は「これだ!」という作品が無く、合格ライン以上の作品を選びその中で順位をつけました。


私が採点で重視したのは印象です。顔は勿論のこと、像全体の雰囲気やシルエット、動きなどが総合的に描けているものは自然と印象があってきます。
印象の良いデッサンは自然と目をひくものです。遠目でひきつけ、近寄っても十分に見られるデッサンを目指して欲しいと思います。


光線状態が良くなかったり、二列目で細部が見づらかったりする事は 試験本番でも十分に起こりうることです。

描く事がむずかしい状況下で、どれだけ戦う姿勢で絵にむかえたか。どれだけ像の情報をとりこめたか。
普段と異なる環境下で緊張するのは当たり前。その中で、どれだけ冷静に仕事が出来たか。周りのペースにのまれずにいられたか。

もう一度振り返ってみて下さいね。





すいどーばた美術学院講師 西嶋雄志 (2日 21:15)
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公開コンクールに参加ありがとうございます。
皆さん結果はいかがでしたでしょうか?
この時期に6時間でトルソを描き上げるのは、なかなか難しいですね。
しかし、この時期だからこそ、6時間という時間を実感し、彫刻の基本となるトルソを描く難しさも体験してもらいました。
今回の結果をどう自分で受け止めるかは、皆さん次第だと思います。
難しさから諦めるのか、より課題を明解にしてヤル気を出すのか。
この先の4ヶ月が勝負になります。
どのように過ごすかをしっかり見据えてください。
今回の上位は2浪生3浪が占めました。当然の結果とも言えます。
1浪生や高校生は、ここからが伸びてくる時期ですからね。
せっかく彫刻を学ぶのだから、人体の構造をしっかり理解して、それを自在に表現できる力を身に付けたいものです。
デッサンですから絵として成立していれば、まずは良いのですが、彫刻の考え方を反映して描くには、必ず押さえておきたい幾つかのポイントがあります。
今日の作品の中で、そのポイントがしっかりと押さえてある作品は、極僅かでした。
厳しいと感じるかもしれませんが、彫刻を学んできた講師たちが見ると、どうしても外して欲しくないところはあるのです。
そこが何か?
まだ時間内で描くことに精一杯な今はわからないかもしれませんが、心配しても始まりません。
毎年、この先の4ヶ月を過ごして来ていますが、どばたの学生はみんな芸大の試験の前には、その人なりに答えを見つけて来ます。
大事なのは、自分の可能性を信じて、彫刻を楽しむことだと思います。
まだ4ヶ月「も」あります。今出来ることを出来る限りやっていきましょう。
私も一緒に成長したいと思います。
ガンバッテイコー!





すいどーばた美術学院講師 冨田佳菜子 (2日 22:19)
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例年、東京芸大彫刻科受験者数の半数以上が参加するこのコンクール。
皆さんはどのような心持ちでこのコンクールに挑みましたか?
やってやるぞ、うまくできるかな、緊張するなぁ、嫌だなぁ、、、
自信や不安、期待や恐怖、いろんな気持ちがあったと思います。

では、描き終わった時はどんな気持ちだったでしょうか。
楽しかった、と思えた人はどのくらいいたのでしょうか。

私なりの総評としては、正直なところ、円盤投げを理解し書き尽くせていたものは無かったように思います。
彫刻的に重要な要素がたくさん詰め込まれているという円盤投げは、確かに難しいモチーフです。
ですが、モチーフに対する視線や意識・感じ方次第で、とてもたくさんのことを感じとることができるはずです。
そうしてたくさんのことを感じとることが出来た人は、描き終わった時に自然と楽しかった、と思えるのではないでしょうか。

感覚的な話になってしまいますが、そんな楽しそうなデッサンがもっと見られたらなぁと、思いました。

私も皆さんも元々、作ることや描くことが好きで、楽しくて、この道に来たはずです。
今回ただただ辛かったという人は、これを機に少しリフレッシュして、初心に戻ってみるのも良いですね。





すいどーばた美術学院講師 西澤利高 (3日 00:15)
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皆さん、お疲れ様でした。
いよいよ11月に入り自身の実力が気になるところですね。今回の結果は如何でしたか?
課題が円盤投げ像ということで、つい形態にとらわれて力みがちになりますが、やはり石膏デッサンの基本として、明るい暗いを丁寧に描写しないと柔らかい人体の動きが画面に表現できません。他には構図と縦のプロポーションですね。経験の少ない人はこういったことを今一度気をつけてデッサンをしてみて下さい。
それと普段は上手く描けるのにここぞという処で結果を出せない人。ひょっとして本番に弱い体質なのでしょうか?そういった人は年に一度の試験には向いていませんね。所詮は石膏像をソックリに写す作業ですから、技術で描いているうちは、集中力の強い高校生に結果として負けてしまいます。石膏デッサンの90%はメンタルで残り半分が技術です。計算が合いませんが本気で受かりたいのならメンタルを鍛えて体質を変えて下さい。でないとせっかくの一年間が無駄になりますよ。
白黒ハッキリする受験ですから受からなければ落ちます。
皆さん頑張りましょう。

(文中、元ニューヨークヤンキースのヨギベラ選手の言葉、"Baseball is 90 % mental, the other half is physical."をチョイ真似しました。。失礼)





すいどーばた美術学院講師 小川寛之 (3日 00:20)
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芸大受験者の半数以上が集まった全国レベルのコンクールでした、全体的にはまだまだ未熟な部分が多いと思います。
時間的なところよりもモチーフの特徴を見抜く力が大きく足りていません。
円盤投げの様なトルソ系は頭部と腰の位置関係で体重移動を表現し、背骨やねじれの動きを意識して構造を押さえます。
今回は動きの印象を掴みきれない途中の作品と、描写をしても大きな構造が見れてない作品の2パターンではないかと思います。
今後、入試に向けて時間短縮や完成度が求められていきますが、まずやるべき事は対象をしっかり把握するトレーニングを日頃から積む事でしょう。
皆さんでもっともっと努力して全国レベルを引き上げて下さい、健闘を祈ります。





すいどーばた美術学院講師 竹花哲 (3日 6:48)
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皆さん、楽しかったでしょうか? 頑張りましたね!
きっと、普段と違った緊張もあったと思います。

「まだ、入試と同じ時間では慣れていないから大変だった。」という人もいるでしょう。
そして、彫刻を理解することの大変さや、未熟さ、訓練不足に気づいた人、
さらに、知識、技術、自分の精神コントロール、などができているか? 
たくさんのことを学べる機会だったと思います。

とても貴重な経験を皆さんはしたのです。そこから、自分は何を学んだのか?
それを冷静に感じ取り、必ず、これからに活かしていけると思います。

1 「目標を達成できる。」と、信じること。
2 「本気」で、やること。
3 必要な情報を徹底して、利用する事。(彫刻の理解、人体理解、表現方法の知識と技術や工夫)
4 自分の精神的な動きと、実際の表現との関係のバランスをとること。(目標、現実、計画性)
5 客観的な、立場になってみること。(どんな表現になっているのか?何を伝えたいのか?)
など、例えば、学んだことを簡潔に、まとめてみると良いです。

それは、個人でみんな違って良いですし、それが、美術、彫刻として見ても面白いところです。
これからの自分に限界を作らず、理想を持って、どんどん楽しんで成長していってください。応援しています!





すいどーばた美術学院講師 吉田朗 (3日 7:57)
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採点を終えて感じたことは以下の2点です。

モチーフの円盤投げトルソの要件を満たすデッサンはありませんでした。

中盤以降のレベルは例年に比べて低下していると感じました。

上位の採点から形の歪み、動きの違和感などを感じながら、絵としての仕上がりなど勘案して、「何かに目をつぶりながら」順位を付けていきました。

中盤以降のデッサンはモチーフがどのような特長を持っているのか、何を描くとそのモチーフらしくなるのかといった観察が少なく、漠然と手を動かして描いているように感じました。

基本ではありますが、そのモチーフらしさをしっかりと見定め、対象に近づけていく仕事をきちんと積み重ねていくことが重要だと思います。それが出来れば大きくチャンスは広がると思いました。





すいどーばた美術学院講師 足立仁史 (3日 8:51)
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まずはモチーフの石膏像とその置かれている状況を理解できるか。

知識、観察、発見
知識は観察や発見の助けになり、観察や発見の積み重ねが知識になっていきます。

あとは描けばいいだけ…とそんな簡単にいけばいいのですが。
形は狂うし、調子はばらつく、時間は無くなっていく…負のスパイラル

自分のデッサンの中だけでもがいてしまいがちですが、もう一度目の前のモチーフと見比べてみましょう。
自分の観えている物に近づけているでしょうか。 ただデッサンを仕上げにいくのではなく、対象に近づけるかが重要です。


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受験生の皆さん、コンクールお疲れさまでした。
普段とは違った制作環境の中での仕事は新鮮な体験になったと思います。
いつも通りの仕事が出来た人、そうでなかった人も、終了後にもう一度自身の作品を振り返ってみてくださいね。

受験本番までの4ヶ月、充実した時間を過ごしてください!