2015年6月アーカイブ

現役芸大合格者に聞く!

「インタビュー企画第28弾」

〜 榎田進之介(東京藝術大学大学院1年)×冨田佳菜子(すいどーばた講師)〜

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冨田(以下:冨)どうもこんにちは。前回に引き続き、インタビュアーは夜間部の講師の冨田がやっていきたいと思います。今回のゲストはすいどーばたの夜間部に通い、現役で芸大に合格した榎田くんです。ちなみにわたくし冨田の同級生でもあります。それではさっそくインタビューを始めたいと思います。

榎田(以下:榎)こんにちは〜

冨:さっそくですが榎田くんに受験についてや色々な話を聞いていきたいと思います。先日講演会という形で夜間部でもお話ししてもらったので話が重複するところもあると思いますが、もう一度伺いたいと思います。
まず、彫刻を目指そうと思ったきっかけはなんですか?これは聞いてなかったですね。

榎:高校の先生が彫刻専攻だったということもあって、そこの誘導的なところもあるけど、
彫刻家になりたかったというよりは、高校2年の頃にダミアンハーストにめちゃくちゃ憧れてる時期があって。
こういうアーティストになりたいって思ってたら、「これも立体(彫刻)だからね。」と高校の先生に。
まぁ最近の現代アートって、絵も描くし立体も作るし、、マルチプレーヤーが好まれてるから、まぁ一番アーティストになるために勉強するべきなのは立体を作る能力だったり、空間を作ってく力だと思って。彫刻に入って、彫刻を作りながら絵を描く、というのと、絵画に入って絵画をしながら彫刻を作るのだったら、彫刻に入って絵画を描くって方が、できるような気がしたの。

冨:たしかに立体感覚とか空間把握能力は大切だよね。今は何とも思わずに立体を把握できるけど、高校生の時とか立体感覚ってまったくわからなかった!見え方が全然違うよね。本当にそう思う。

榎:その時は本格的に彫刻って決めたわけじゃなかったけど、とりあえず予備校の彫刻科に通ってみて、石膏デッサンとか自分に合ってると思ったからこれだったらこの勉強を続けていって合格できるんじゃないかなと思って。

冨:受験を意識し始めたのはいつ頃ですか?

榎:高校二年生の時にタチビの夏期講習に行ったなぁ。受験のコースだったからかなりピリピリだった。その時のタチビはとにかく放置するような指導方針で全然何も教えてもらえなくて。心棒の作り方とかシュロ縄こととか。まぁ優しい浪人生に教えてもらいつつやったなぁ。

冨:タチビの後は学校?

榎:うんそう、学校が美術系だったからね。学校で描いてた。あと担任の先生がかなり厳しかったし。予備校より全然厳しかったから。

冨:そんなに?(びっくり)

榎:すごいよ、めっちゃ怒られる。描ける描けないじゃなくて、本当に精神的な面でめちゃくちゃ怒られる。なんでそんな怒られなきゃいけないんだよって思ってた。

冨:おおそうなんだ!そういう気持ちが大切なんじゃない?なんでこんなにって思わせるような。

榎:まあね、結構本気でこっちと接してくれるから、こっちも応えなきゃいけないと思ってたし。
ある日突然学食でお昼を食べ終わって同級生と話してたら突然その先生が来て、いきなりめちゃくちゃキレだして。

冨:え?!急に?なんで?

榎:お前ら気合が足りない、こんなんで芸大受かろうなんて思ってんじゃねえぞって
お昼ご飯食べて、時間を一分一秒無駄にできないと思ってないようじゃ受かるわけない
昼ごはんを食べる時間も惜しんで、お腹空きすぎて食パン食べながらデッサンするってくらいの気合がないと受からねぇって言われた。

冨:すごい!スパルタですね〜。でも私もそんな感じだったよ!普通科だったし地方だし、自分でやるしかなくて。朝早く起きて学校行く前に家でデッサンして、学校開いたら学校の美術室で描いて、自主勉の時間も教室を抜けて美術室で描いて、お昼休みもちょっと描いて、部活時間も描いて、家に帰ってご飯を食べたらまた少し家で描いてから、寝る、みたいな。そしてまた朝早く起きる!

榎:俺は家では描いてなかったけどね、まぁ学校の門の前で朝は待機する感じだったね。
じゃないと先生に怒られる〜って言って。俺も5時くらいに起きてやってた。

冨:良い先生。そうやって怒ってくれる人がいるっていいよね。一人では出来ないこととか気づけないこととかあるし。
やっぱ言う時は言って、思ったこと言わないと結局学生のためにならないよね。

榎:まぁね、ずっともうほとんど常に怒られてたけど。
受かってからはやっぱりすごい感謝してるから、いいんじゃない。
予備校初めて行った時、甘くてびっくりした。

冨:では学校でやりつつ、高校三年生になました、それから?

榎:高3の春季はシンビに言って、今の同級生と出会った(笑)
シンビも優しくてびっくりしたね。講評も優しいし、心棒の作り方からあら付けの仕方まで丁寧に教えて貰った。
その時に初めて色々教わったかな。まぁもともと高校が主体で、いろんな予備校に通ってるやつを倒しに行くって意識で行ってたけど。
まぁそのあと夏期講習でどばた行ったね。やっぱ人数も一番多いって聞いてたし。
コンクールとかできっちり順位つくってのとかもやっぱ人数多くていいし、常に現役一位でいようと思ってたから。
現役の中で一番だったら受かるだろうなって。

冨:私は現役生の時、浪人生以上にやらないとって思ってた。

榎:まぁでも感覚が違うと思うんだよね、浪人生とは。
あんまりこう一緒に合わせて戦うってのも、もはや成り立たないんじゃないかなって思ってた。

冨:確かに!私も良くわかんなかった。現役生の時冬期講習のコンクールで良い順位が取れたんだけど、1位から10位くらいまでの割と評価されているデッサンの何が良いのかわからなかった。とりあえず見て描いただけで結果だけ良くて、嬉しいな〜みたいな。

榎:現役の人は自分と土俵が一緒なわけだから、同じゲージで戦えるからね。いつから始めようが、みんな受験したことないわけだし。
とにかく、自分なんかじゃ無理だって思わないで欲しいかな。自分とまったく同じ立場の人たちなんだから、その中で一番を目指せばいいことなんだし。

冨:では、受験当日や入試直前の話を聞いていきましょう。
入試直前は現役生ってすごく伸びますからね。

榎:いや、ほんと伸びるね。ほんと1日1日変わってくよね。

冨:前日はどうだった?
ちなみに私は前日にカツカレーを食べました!ゲン担ぎ。

榎:前日は円盤投げ描いたな。円盤投げ好きだったし、円盤投げでも描いて気合だすかぁーって。
まぁでもその一枚でもいろんなことわかった。
本番は全然緊張してなかったの覚えてるなぁ?。もともと緊張しないタイプだからなぁ。
そういえば私大も受けた!芸大を受かる為に、肩ならしというかリズムを作る為に、私大受けよっかなって。
それが成功してたのかわかんないけど。
別に多摩美武蔵美落ちようがね、関係ないよ。
武蔵美補欠30番台だったけど、まぁ武蔵美の試験向いてないなぁって思ってたし。
あくまでウォーミングアップだったから結果は気にしてないな。

冨:さすがですね〜。わたしは一本だったけど、結果が出たら気にしちゃうかも。

榎:まぁ本気で自分のこと考えられてて、芸大より私大が自分にベストだと思ったらそっち行けばいいと思うけどね。
俺はアーティストになりたいって気持ちがあったし、その為には芸大が一番いいって思ってたし。
自分の将来のことを考えて大学を選ぶってことが本当に大事だと思う。
自分の将来についてしっかり考えたほうがいいと思うよ。
まぁ作ることが好きでとりあえず何か作ってたいって人にも芸大はいいと思うね。大学入ってからの課題とか少ないし。
就職するにしても、肩書きはあるしね、いいと思うよ。

冨:なるほど、確かにそうですね。
しっかり将来を意識して計画的に考えてて、すごいなって思います。同級生ながら感心、、、。

では最後にみんなに何かアドバイスがあればお願いします。

榎:まぁほんとに自分で考えることかな。
伸びるのが遅い人は頑固な人が多いと思う。固定概念を変えられないっていうのがね。
だから今まで自分が信じてる何かがあったとして、それで自分が伸び悩んでるとしたら、なるべく早く変えなきゃいけないわけだから。
うまくいってないなら、いままで思ってたこと全部勘違いかもしれないと思って柔軟に対応できないと。やっぱ常に柔軟に考えることが大事。
自分に今これが必要なのか、冷静に判断して、違うんだったらすぐにやめれないと。
だから固定概念が強い人って間違ってることを変えられないし、間違いを間違いと認めたがらないんだよね。
冷静になって考えを整理しないとね。

冨:それ大事!

榎:自分が間違っていることっていっぱいあるって思ってないと。

冨:そうだよね。

榎:先生の言うことを全部鵜呑みにするんじゃなくて、知識として保管するって感じかな。
まぁとにかく自分にとって何が必要かを考えるってことが重要なんじゃないかな。
で、それが合ってたら、受かる。

冨:受かる為に、どうするかってことですね。
あとは、楽しく描くこと。意識してましたね。

榎:それ大事だね。気持ち大切だよね。

冨:うんうん。
現役生にしろ、浪人生にしろ、その場で感じた気持ちや感動を大切にいつも新鮮な作品を作っていってもらいたいですね。
というわけで、たくさんお話しを聞かせてもらいました!榎田くんありがとうございました!

とても色んなお話が聞けました。学生のみんなも、すこしは参考になったのではないでしょうか?
もうすぐ夏季講習も始まります。今の自分には何が必要なのか、しっかり考えて取り組んでいこう!


榎田くんの試験前日のデッサン
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