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2022年10月23日

●2022年全国公開実技コンクール

「インタビュー企画第43弾」
 2022全国公開実技コンクール特集

                  担当 田中綾子 赤尾智

ーすいどーばた美術学院講師10名の採点総評コメント掲載ー

各講師から、今回の公開コンクールについての総評を書いてもらいました。
それぞれの言葉をしっかりと受け止め、今後の制作の参考にしてもらえればと思います。


文章が送られてきた順に掲載します。

すいどーばた美術学院 彫刻科講師 小野海
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デッサンは絵なので僕はやっぱり、美しさやカッコよさを感じる絵を評価したいです。


もちろん守らなければならない項目は多いですから、やりたい放題はダメですね。
でも結局は自分の絵ですから、全てを利用して魅力的な作品を描いて欲しいです。
本気で、魅力的な絵を描いて欲しいです。
僕は提出されたデッサンを、それがその人の本気であるという前提で、一つの結論として受け取ります。この人はこおいう景色を見たんだな、こんな景色を僕に魅力的に伝えてくれてるんだな。って思えると、良いデッサンだな〜ってなります。
ガッタメラータは難しいよね、緊張もある中よく頑張ったよ。とはなりません。
魅力のない絵には惹かれません。


上から順位は付いてますが、正直全体を通してそんなに差はないです。
大渋滞してる集団の中から、何か光るモノを見つけようとしましたが、どんなに探しても描かされてる絵ばかりでした。

残りの4ヶ月弱、描かされ続けるのはとてもしんどいですよ。
もっと攻めた方が良いと思います。攻めることを日常にしないと、本番ショボい作品を置いてくることになります。

「攻める」ってのは変なことをやれと言ってる訳ではないです。
モチーフをちゃんと見て判断する、というのは最大の攻めです。
攻めた分だけ比例して責任が必要になりますから。


もっと攻めてください。


すいどーばた美術学院 彫刻科主任 小川寛之
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採点を振り返って

正確に描かれているデッサンは少ないものの、熱意を感じる作品が多くみられました。
恐らく高校生が大半かと思いますが、今年は下位のレベルの底上げを感じます。
上位の作品はもう少し構造面の正確性と明るい調子で仕上げられた作品が多いとよかったです。

入試まであと4ヶ月と考えると楽しみな内容ではありました。
沢山描いて多様な見方を増やしてください。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 田中綾子
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みなさん、お疲れさまでした。

1年に一度の公開コンクール、やっぱり力が入りますよね。
アウトラインやプロポーションからしても、もっと正確に捉えたいというのは大前提として、全体的には少し無理をしているデッサンが多いように見えました。

形を変に引っ張ろうとして炭がギラついていたり、手数は入っているのに全体のバランスが見えておらず作業的で、ベッタリと空間が潰れてしまっていたり……
とにかく自然さからは離れてしまっているような状態です。

石膏デッサンは、器用に描けるかどうかを見せるものではなく、どう見ているかを見せるものだと思っています。
もちろん、見たものを画面に再現するには技術や知識が必要なのですが、モチーフに近づけるために使わなければ意味がありません。

モチーフとして使われる石膏像たちは、彫刻としてかっこいいものばかりです。
そのかっこよさを正確に画面に表せるよう、ゆったりと捉え、じっくり読み取ってみてください。


すいどーばた美術学院 臨時講師  遠山蘭
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皆さん、公開コンクールお疲れ様でした!

この時期に、本番と同じ6時間で仲間と戦える機会があるということはすごくラッキーなことです!
それを自分にとって意味のあるものにするかどうかは、本人次第だと思います。
今回失敗してしまった人も、それぞれ原因があると思います。
例えば、描き慣れない二列目だったから!とか、光の悪い位置だったから!とか、自分は本番に弱いから!とか…。
当日の状況によって、自分の力を出しきれなかった言い訳が沢山出てくると思います。
でもそれだけで終わってしまったら本っっっ当に勿体無い!
失敗してしまったからこそ、得るものが多いんです。
その日の自分を冷静に振り返ってみれば、もっと自分にとって重要な見落としが見えてくるかもしれない。
そういう作業を含めての公開コンクールなんだと思います。
私自身、3回公開コンクールを経験していますが、B゜は一度もとれたことがありません。めちゃくちゃ本番に弱いタイプです!でも、最後の公開コンは自分にとって、とても大きなターニングポイントになりました。やらかした後、自分なりに分析・反省することによって、その後の実技の取り組み方に変化が出てきました。今思えば、合格のきっかけになっていたんだなと思います。
本番まではまだまだこれからです。
本番で失敗しないための今!凹んでる暇なんてない!自分なりのやり方で、沢山失敗してその分自分の蓄えにしてください!応援してます!


すいどーばた美術学院 臨時講師  嶋田一輝
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今回は代打での参加となりましたが、どばたを出て2年目にして初の採点者側としての機会を頂くことになりました。
アトリエに入ってからの第一印象は、面白い個性のデッサンもあるけど、胸中のソワソワした感じが炭に出ていて、像よりも先に作者の方を手前に感じてしまう作品が多かった感じがしました。
突出したデッサンは一枚もありませんでしたが、試験当日も恐らく100%満足できるような作品を置いてくることは難しいと思います。
各々の努力や成長のストーリーも、本番では何のアイデンティティーもない3桁の受験番号に収められてしまうのが残酷です。
でも、そんな平等な条件の上で足踏みをしていては凄く勿体無いと思うので、今回の結果を全体の1つとしてしっかり受け止め、これからの時間で自分の出来ることを無理せず着実に広げていってもらいたいと思ってます。
一旦深呼吸してください。
皆さんお疲れ様でした。

すいどーばた美術学院 彫刻科講師 野畑常義
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上位の票がかなり割れて、印象も深度もバチッとガッタメラータになっているものが少なかったのかなと思います。

メソッドが出尽くしているから、ある意味手の技術はみんな身につく時代だし、順位が後ろの方の人も随分と達者だなぁとも思いました。そんな優劣はあまり感じなかったです。

参加した多くの人にとって、ガッタメラータは見慣れた像です。何度描いたかわからない人もいるでしょう。

でもどこかの美術と関係ない人が会場に連れて来られて、特定の席に座らされて、コレを目の前にした時、何か普段の生活とはかけ離れたとんでもない物体がそこにある訳ですよね。

もう一回、出来れば毎朝、その何かとんでもない物体を観て欲しいなと思うんです。

先入観の無い新鮮な発見に比べたら、知ってることなんて大した価値がないんじゃないかな?最近じゃあ知ってるせいで何かを失ってたりもするんじゃないかな?そもそも何を知ってるのかな?聞いたり読んだりしたこと以外。。

本気で捕まえに行かなきゃ、近くで遠くで、穴の開くように、サラっと一瞬見かけるように、触るように、抱きかかえるように、毎回そうやって観なきゃ少なくとも僕は描けないです。相手はとんでもないんだから。


すいどーばた美術学院 臨時講師 谷内めぐみ
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みなさんお疲れ様でした。

部屋に入り1番に受けたのは全体的に絵としてまとまっているデッサンが多いなという印象でした。
それは完成に向かおうとしている責任感を感じる部分でもあるのですが、わたしにはそれが木炭の粒子の定着具合への気の使い方とモチーフらしさ引き出そうとするバランスが少し前者に偏っているようにも感じてしまいました。
今やっている仕事はちゃんとモチーフに近づこうと出来てるか?
完成って何なのか?
目の前にある彫刻のかっこよさを自分の画面から感じとれるか?
緊張している時こそ描き急がずに新鮮な発見が出来るまでモチーフをじっくりみてみるといいのかもしれません。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 阿部光成
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公開コンクールお疲れ様でした。
皆さん結果はいかがだったでしょうか?
満足できた!思ったよりも振るわなかった?等々悲喜こもごもだと思います。

自分の受験時代の話ですが、公開コンクールで上位のデッサンがどうして評価されるのか分からなかった時がありました。「自分の方がカッコいいのにどうして?」
当時は学生数が多かったのでイーゼルに並びきらないデッサンは重ねて場末に置かれていました。
通称(お蔵入り)、、、、、
結果を期待してトップの方から自分のデッサンを探すのですが、一向に見当たりません。
「まさか(お蔵入り)の中じゃないよな?」
現実から目を背けるようにもう一度トップから見直します。ですがイーゼルに掛けられているデッサンの中に自分のはありませんでした。仕方なく(お蔵入りの)中から探しました。
束と重ねられた中に輝きを失ったような妙に貧乏くさい自分のデッサンがありました。
その時は現実から目を背けたいのか「まあ自分はこんなもんだろ」と半ば卑屈になって精神を維持していた記憶があります。
自分の位置からトップまでどれだけの距離があるのだろう、、、、

さあここからです!
駄目だと決めつけてしまうのか?いやもうこんな思いはしたくないと顔をあげるのか!

受験まで4か月。ひたむきにコツコツと覚悟を決めるしかないのだと思います。

最後に翌檜(あすなろ)という木を紹介します。檜(ひのき)に憧れて明日は檜のようになろうとしている木です。とても勇気をもらえる存在です。自分は檜よりも翌檜のほうに憧れます。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 足立仁史
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荒げずりながら熱量を感じるもの
しっかり形を合わせようとしているもの
6時間の制作時間の中でそれぞれに格闘しているように感じますが、ガッタメラータらしい頭部の量感や起伏の激しい形、姿勢、顔の印象などに迫り切れている物はまだ少ないように思いました。

自分のリズムで描写しすぎてモチーフから離れてしまっていないか
合わせようとしすぎて自分の見た視点からの臨場感が薄れてしまっていないか

モチーフを見た感覚が画面の中にしっかり再現できているか、もっとこだわっていける事が沢山あると思います。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 赤尾智
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全体の印象として、それぞれの絵から熱意は感じましたが、冷静さは少し欠けていたように思います。
具体的に言うと、ガッタメの細部の印象に気を取られて体と頭部の関係性や軸などの、押さえておくべき基本的なところがおざなりになっているものがほとんどでした。

コンクールはどうしても順位が付いてしまいますが、上位だから良いとか下位だからダメだという事ではありません。
受験生はよく講師から、結果に一喜一憂しないようにという話をされると思います。これはただメンタルを強くしなさいと言っているのではなく、どの順位にいたとしても今自分の持っている力をどれくらい出すことができたのかを正しく認識しましょう、と言うことです。向き合うべきことは順位ではないのです。

モチーフに対しても、結果や自分自身に対しても、表面的なところではなく根幹を見極める力を残りの期間でしっかり鍛えてください。


2020年10月25日

●2020全国公開実技コンクール

「インタビュー企画第39弾」
 2020全国公開実技コンクール特集

                       担当 足立


ーすいどーばた美術学院講師8名の採点総評コメント掲載ー
各講師から、今回の公開コンクールについての総評を書いてもらいました。
それぞれの言葉をしっかりと受け止め、今後の制作の参考にしてもらえればと思います。




文章が送られてきた順に掲載します。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 田中綾子

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みなさん、お疲れ様でした。

普段と違う状況では、肩に力が入った人も多かったのではないでしょうか。
真剣に取り組んでいるからこそ緊張するのだと思いますので、緊張すること自体は仕方のないことです。

しかしそんな中で、押さえるべきポイントはどこか、狙いはどうするか、その為には何をすべきか、今自分のデッサンはどうなっているか、そういった判断を的確にできるかどうかが試験では大切なのかもしれません。

狂いが残っているのに無理にまとめようとしてしまうと、違和感がハッキリとするばかりで、いくら描き込んでもモチーフからは遠ざかってしまいます。
ばっちり合っていて、絵としてもカッコよければそれに越したことはありませんが、上手くいっていない時には適切な仕事を選ぶ力が必要なのだと思います。

まずは自分の緊張とデッサンの違和感に早く気づくこと、そして慌てず対処することを心がければ、きっと良い方向に向かっていけると思います。



すいどーばた美術学院 彫刻科講師 アイザック レオン

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お疲れ様です。


実技には判断力が必要です。
並べられたデッサンは構図からの狂いがほとんどでした。
早い段階でそれに気付けたのに直さなかったのか、そもそも気付かなかったのか、どちらにせよ冷静な判断は感じられませんでした。

とりあえず、今は結果が出る事が全てではありません。失敗からしっかり学んでください。
時間の使い方人それぞれ、有意義に使えるかどうかは皆さん次第です。



すいどーばた美術学院 彫刻科主任 西島雄志

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採点しての感想としては、アトリエの空間や光などの環境を感じ取れている作品が少ないですね。
形が合っているかとか、顔が似ているかとかも大事ですが、作品からその場の「臨場感」が伝わるか?ということが、結構大事な要素ですよね。
1位のデッサンは顔がもうちょっと似て欲しかったですが、空気感や光の質、視点など作者の感じた臨場感が伝わってきました。
他の皆さんもそういうところを大事にして、デッサンを一枚の「絵」として見るようにすると、多分今まで見えなかったことが見えてくると思いますよ。
明日からまた新たな課題を持って「日々是精進」してください。




すいどーばた美術学院 彫刻科講師 田中地平

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ぐるっと一周見てまわって率直に今回はレベルが低いと感じました。
形が合っているものがなかったことや炭が濁ってしまっていて顔が似ていないデッサンが多くあり第一印象が悪かったからです。
本番の試験のことを考えると周りに埋もれないデッサンがいいですが、今回は皆、力みがあり画面内の調子が崩れて遠目の印象が悪くなっていたため同じようなデッサンに見えました。

逆に、遠目の印象を良くすると並べて見たときにも目立つデッサンになると思います。
本番の緊張する場面では当たり前のことを当たり前にこなすことは皆が出来ることでは無いと思います。
客観的な視点があれば正しい判断ができるので大きく狂うこともないです。高い集中力も大事ですが客観性も同じくらい大事です。是非、緊張する場面で自分の力が出せる人になってください。
頑張って下さい。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 秋吉怜

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みなさんお疲れさまでした。

 なかなか一筋縄ではいかない。ぼくの中でジョルジョはそんな印象のあるモチーフです。
だからこそ、最後の最後まで粘ってモチーフに寄り添って欲しかった、、そんなことを採点しながら感じていました。

 この時期に6hはタイトかなと思いますが、狂ったまま描きにいってしまったデッサンが上位から下位までほとんどです。そのため今回の採点では、改めて構図と、それから彫刻科には押さえて欲しい“箱”としての見方・表現ができているかを基準に決めていきました。中盤以降の作品にはその狂いに立ち向かっていこうとしてるものから点をつけていきました。
 魅力的な表現も大切ですが、いま一度初心に帰ってデッサンに向き合えるといいですね。

 出来ることはまだまだあります。やろうと思えば必ず出来ます。まずはそこから始めましょう!


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 阿部光成

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皆さんお疲れ様でした。

まず、このコロナ禍のなか、沢山の参加ありがとうございました。積極的な姿勢いいですね!

さて実技ですが、アトリエに入って感じたのは
ザワザワと落ち着きの無いデッサンが多いな?と感じました。
気合の空回りというのでしょうか?

これまでしっかりと準備をしてきたと思いますが
それを活かせる別の準備が足りないのでないでしょうか?
それは実技だけではない物事の考え方や捉え方だと思います。

僕は趣味で山に登りますが、スケジュールを守ることに
頭が一杯になり、せっかくの風景を眺めていなかったなんて
ガッカリすることがあります。。。

皆さんはどうだったでしょうか?
静かに呼吸しながらモチーフや実技を眺める時間がありましたか?

登山も何でもそうですが、苦しい、だから喜びもあります。
達成してくださいね!


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 足立仁史

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みなさんお疲れ様でした。

今回は顔が似ていると言えるデッサンが少ないのが気になりました。
なんだかんだ言ってもやっぱり顔の印象はデッサンの評価に大きく影響してきます。
形を合わせよう、描写しようと意識し過ぎるとなかなか上手く行きません、しっかりと観察してジョルジュっぽく描くという事が大切です。
最後までモチーフの特徴やどういう見え方をしているか、シンプルなところに戻って冷静に判断していきましょう。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 小川寛之

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皆さん、お疲れさまでした。

毎年思う所ですが、見応えのする作品をもっと多く見たかったです。

採点の前の見渡した印象は、とにかく黒い絵が多い。
こんなに絵が濁っていると間違いになかなか気付けないだろうと思いました。

皆さん、冷静に振り返えりましょう。

実際この様な景色に見えていたのか?
完成のイメージはしっかり出来ていのたか?
こう描きたかったのか?

この先、表現する立場として魅力的な作品を産み出していかなくてはいけません。
イメージを高いレベルに持っていき、自信のある炭を動かしていきましょう。

あと4カ月、観察力と表現力の両方を磨いてくださいね。

頑張ってください。


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受験生の皆さん、コンクールお疲れさまでした。
以上8名の講師の総評でした。心に留まる言葉があれば、大切にしてください。
残り4ヶ月、しっかり力をつけましょう!


2019年10月19日

●2019全国公開実技コンクール特集!

「インタビュー企画第37弾」
 2019全国公開実技コンクール特集

                       担当 小川


ーすいどーばた美術学院講師9名の採点総評コメント掲載ー
各講師から、今回の公開コンクールについての総評を書いてもらいました。
それぞれの言葉をしっかりと受け止め、今後の制作の参考にしてもらえればと思います。




文章が送られてきた順に掲載します。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 田中地平

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みなさん、お疲れ様でした。

自分の描きあげたときの実感と実際の評価はどうだったでしょうか。画面から熱量が伝わってきました。しかし、ヘルメスはただ描けばいいというモチーフではなく、印象を合わせるにはしっかりと観察をして自分の仕事が的確かどうか慎重に判断しながら進めていかなければいけません。ただ6時間の中で焦って完成に向かっているだけでは炭が濁り形も癖っぽくなっていくでしょう。では、6時間の中で画面の中で再構成しながら印象を合わせ、完成させられたデッサンが何枚あったのか、、自分は3枚しか目に付きませんでした。

B°の評価がついたデッサンは例年に比べ少なかったように思います。正直残念でした、B°の中盤からBの数・質は物足りないなと思いました。みなさん、もっと頑張りましょう!!

冬も近づいてきて焦りも出てくるでしょうがいっぱい実技をしましょう。周りの人に比べて劣等感を持っている人もいると思いますが、今ある実力差なんてこれからの頑張り次第でどうとでもなると思います。

人よりも実技をしましょう!放課後や授業前に自分の課題に取り組みましょう!人よりもやらなければ芸大には合格しないです!!とてもシンプルだと思います!!


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 秋吉怜

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みなさんお疲れさまでした。
しっかりモチーフと、自分の絵と、格闘しているなと感じました。自己満足の表現ではなく、観たものに謙虚に近づけようとしているデッサンが多く、好感が持てました。

上位のほうは炭も澄んできて見やすいデッサンが並んだのも良かったです。
ただ、もっと完成度の高いものが並んでほしいとも感じました。格闘して終わるのではなく、モチーフや絵をコントロールしきったものが出てくると良かったです。
捉え方や観る姿勢は確かのものがついてきています。あとはそれを表現する力をどこまで高められるかが、大事になってくるでしょう。

下位のものも戦っているのは感じるのですが、単純に見づらい絵が多いと感じました。デッサンは結局は光を使って描くものなので、もっと光と仲良くなれるといいですね。


すいどーばた美術学院 彫刻科主任 西島雄志

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皆さんお疲れさまでした!
ヘルメスは過去に芸大で6回出題されている常連のモチーフです。
動きの方向が複雑ですが、その要素をしっかり理解して捉えると、すごくカッコいいデッサンになります。
今回の皆さんのデッサンを見て感じたことは、まだその要素を捉え切れていない状態で見えたものを即物的に描いているように思います。それ故にズレて欲しくないポイントや表情が大事な要素に乗っからなくて違和感となっています。
デッサンをする前段階として、いかにモチーフを観察するか。その観察とは彫刻の言葉になっているのか。その辺りがこの先デッサンをしていく上で重要となります。

要素が多いと複雑で難しく感じるかもしれませんが、実は逆で、要素が多ければ多いほど、お互いの関係性が多く出来上がるので、捉えやすいのです。
だから、シンプルな要素のモチーフのデッサンの方がむしろシビアさは増してきます。

皆さんは、モチーフから感じ取った感動を分析していますか?
何故、感動したかには必ず理由があります。その部分をしっかり理解出来ると良いでしょう。

残り4か月は、まだまだ長い。
時間をかけて心と身体を一体化させてください。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 小川寛之

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皆さんお疲れ様でした。

これだけ大人数になると、感覚的で魅力的な絵、優等生な絵、荒削りで尖った絵など色々な作品に出会うのですが、今回はちょっと物足りなさを感じます。

各研究所でまずはしっかりバランス感覚、観察眼を鍛えて直してください。
そして、美術ですから最終的には魅力のある絵、または自分の理想とする絵に出来るよう頑張ってください。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 阿部光成

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公開コンクールお疲れ様でした。

まずはアトリエに入った時の第一印象ですが、目に飛び込んで来る実技が少ないと感じましたね。

形の精度、顔面の印象、炭の響き合いなど調和のとれた実技があまり見受けられませんでした。

日々皆さんはアトリエで実技に没頭しているでしょう。ではアトリエの外ではどう過ごしていますか?

本物を見る機会はありますか?
作家の作品を見て下さい。彫刻はもちろん、それ以外もです。

絵画のハッとする色彩や考え抜かれた構図。

日本画の選び抜かれた線の美しさ。

工芸の素材の活かし方と密度の高さ。

骨董なども良いでしょう。

そこには今皆さんに繋がる要素が沢山あります。

外に出向き行動をして下さい。モノを見る目を養い、美意識を骨太にしてください。

そうやってさらに良い実技を目指して下さいね。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 三上晏子
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皆さんお疲れ様でした。
モチーフをどのように見たか、理解したかがデッサンに出ると思います。
自分なりに理解するために、自分なりの動きをすると良いと思います。

今回のコンクールでは、像に迫れているものは少ないと感じました。
冷静に自分が描いているデッサンを見る時間を作ってあげましょう。
そして判断していきましょう。判断力は普段の実技でつける事ができます。

残された時間、意味のある時間を過ごして欲しいなと思います。
健闘を祈ります。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 足立仁史
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皆さんお疲れ様でした。

いつもと違う状況での製作は思い通りにいかないことが多いと思います。緊張しないようにしてもなかなか上手くいきません、緊張している時に自分の長所、短所がどう実技に影響するのか自分自身のことをよく知り、対応していくことが大切ですね。
モチーフを観察、理解し、それを画面上に再現する、やることいたってシンプルです。同じ事の繰り返しに感じることもありますが、新たな発見もあります。粘り強く実技に向き合って行きましょう。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 小野海

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みなさんお疲れ様でした!
いやぁ、aが出ませんでしたね?

実は最近、すいどーばたの普段のコンクールでもデッサンでaは出てません。
みんな頼むよマジで!こっちの準備はできてるよ!


じゃあ何故a以上の評価が付かなかったのか?
僕が思うに、B°ランクどまりのデッサンというのは彫刻科にしか分からない観点で描かれているデッサンです。
彫刻科の講師なら評価するけど、彫刻の勉強をしたことがない人には何が良いのかさっぱり分からない、そういうデッサンはa以上のランクになれません。

大学の彫刻科に行こうとしてるんだからB°で良いじゃないか!と思う人もいるでしょう。
ですが、少し考えてみてください。
みなさんが一生懸命石膏像をデッサンしているのは何のためですか?
上手に石膏像を描くため?受かるため?…合格がゴールではないことは確かですね。


デッサン力は「見る力」です、そして判断力。描くという行為はその次にあります。

僕は今23歳です。デッサンを始めたのは高1なので、デッサン歴は8年くらいですね。
そして、変な言い方になっちゃいますが
人間には目があるので僕も生まれてこの方ずっと目を使ってモノを見ながら生きてきました。つまり見る歴は23年です。だから僕はデッサンを描くときにはここ8年で得た「描く力」ではなく、知らず知らずのうちに23年毎日培ってきた「見る力」でデッサンを描きます。
この「見る力」に関してはみんな自信を持って下さい。だって起きてる間はずっとやってんですから、日々強化されていきます。

余談ですが、むかし彫刻の講師に誉められた自画像を親戚のおっちゃんに見せたら「なんか50代に見えるわ、あんま上手じゃないな」って言われたことがあります。たぶんおっちゃんはデッサンなんかしたことないけど、そん時にハッとしたんです。俺はデッサンを彫刻の専門知識で描いてるかも。
おっちゃんは見る歴60年くらいかな。そりゃ僕が気付けないことに気付けるわけですよね。


みなさんは今回デッサンを描いていた6時間、「描く力」と「見る力」はどんなバランスでしたか?
画面を木炭で塗り潰すことに必死なっていませんでしたか?
しっかり見て判断すればきっともっと良い絵が描けると思います。B°とaにそんな難しい差は無いと思いますよ。

もっともっと熱い作品を期待してます!


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 アイザック レオン

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焦ったのか?緊張したのか?

アトリエに入って並べてあるデッサンを目にしたとき、ヘルメスどうこよりも画面から見えてくる皆さんの姿勢が気になりました。構図が明らかに悪かったり、狂いが多いままどんどん描写してしまってたり、画面からは冷静な判断を感じられませんでした。
確かにヘルメスは難しいし、公開コンでは人数が多くて結果を出すことにプレッシャーを感じることがあると思いますが、実力は状況と場を選んではいけません。
焦りを感じたらまずは手を止め、とにかくモチーフを見ましょう。そして、画面とではなくモチーフと向き合いましょう。画面はモチーフの観察から得た情報をメモするところです。メモした情報がちゃんと対象に近づいてるか、一致してるか、確認をいっぱいしてください!

失敗は悪いことだと思いません。むしろチャンスです!実技中の姿勢と判断力を見返してみてください。悩んでる暇はありません、この結果をどう変えていくかは皆さんのメンタルと努力次第です。

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受験生の皆さん、コンクールお疲れさまでした。
以上9名の講師の総評でした。心に留まる言葉があれば、大切にしてください。
残り4ヶ月、しっかり力をつけましょう!

2015年05月18日

●新たな講師 荒木秀造先生に聞く!

2015年度より新たなすいどーばた彫刻科講師として加わった荒木秀造先生にインタビュー。

現在東京藝術大学彫刻科に在籍中の荒木先生。浪人時代の話から試験の話まで、いろいろとお伺いしてみました。
インタビュアー 冨田佳菜子


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冨田(以下:冨)わたくし冨田と共に浪人し、現在は東京藝術大学彫刻科4年に在学中の荒木先生です。それではいきなり質問ですが、荒木先生はなぜ彫刻という道を選んだのですか?

荒木(以下:荒)もともと油絵を高校の時専攻してました。三年の春に東京に出て、某予備校の春期講習に通い、「なんか魅力ないね。。」と先生に言われ、半泣きで兵庫県に舞い戻りました。
東京コワイ...油絵コワイ...絵、描きたくない...
ん?
でも立体なら見たものをそのまんま形にすればいいぞ。360度ちゃっかり作ればいいんだ。
よし!彫刻をしよう!
という流れで彫刻を選びました。

冨:そういえば現役生のころ、溶けた食パンのようなものが描いてある油絵を見せてもらった記憶があります、、。とはいえ無事に彫刻科で芸大に合格した荒木先生、大学生活はどのような感じなんですか?

荒:楽しいですね〜

冨:おお、充実しているようですね。ではどんな制作を普段しているんですか?

荒:学校では木彫をしてます。木は温かみがあって、好きです。
学校以外では、最近フィギュアの勉強をしています、家で。

冨:なるほど、今後もフィギュアの仕事をやっていくつもりですか?

荒:そうですね。今年の夏にはワンフェスにも出展する予定なので、是非来てください。
ちなみにワンフェスとは、ワンダーフェスティバルといって、素人の人からプロの原型師まで経験を問わず参加する事のできるフィギュアの祭典で、企業ブースではまだ発売されてない商品なども展示さてれいたりするので、興味ある人は是非、札束を持ってきて下さい(笑)

冨:札束ですか!

荒:入場料で二千円飛びます(笑)

冨:なかなか高いですね。。。価格帯ってどのくらいなんですか?

荒:小さいものだと1,000円台〜買えます。が、六分の一くらいの人体サイズであれば一万円は軽く越えます!
日にちは7月26日。

冨:話が大幅にそれてしまいましたが、さて、いよいよ浪人時代についてお聞きしていきたいと思います!
荒木先生は、どばたで何年間勉強したのですか?

荒:2浪しました。詰まる所、二回落とされた、ということですね。(笑)

冨:2年間を振り返ってどうでしたか。

荒:実技に対するストレスだったり、不安感だったりはあんまり感じることは無かったです。ただ、家にネズミがわいた事が大きなストレス兼寝不足に繋がっていました。実技に関しては、毎日買い上げ作品を出すつもりで、昼飯を食わずにぶっ通しで制作をすることもよくありました。実技がダメな日は、そんな日もあるさ!と友達と遊び、実技がいい日は、俺天才!と自らを褒め讃え、心がぶれないように、実技を毎日楽しめるように、心掛けて日々過ごしていました。

冨:いいですね〜。では、最後の受験はどのような心持ちで迎えたのですか。

荒:いつも通りであることが、一番大事なのではないかなと思っていました。決して神に祈らぬと心に誓い、いつも通りの実技をして帰ってこれば、必ず受かっていると、そういう心持ちで受けてきました。
やたら多いやん?試験前に限って、神社行ったり、ジンクスに頼ったり、、、そういうのって、自分のこれまでの一年間を否定してしまっているように僕は思うので、自分の足で通って自分の目でみて自分の手で表現してきたわけだから、それ以上に信じられるのは何も無いと。
だから、神に祈るなと。僕は言いたい。
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冨:私も、そんな感じでした。とにかく自分を信じて、受かる自分を想像して、毎日過ごしていましたね。

荒:冨田先生は、すごくストイックで完璧さを追求してたイメージがあったんですけど、その精神面と体力面で、モチベージョンを維持する為に、どういうことを意識してたんですか?

冨:うーん。私は完全に精神論でしたね。風邪はひかないと思えばひかないし、自分が描けると思えば、描ける。それと、恐がりだったので、落ちるのが怖くて、手が止められないというのもありました。

荒:すごく納得です。

冨:なので、浪人するということは辛いこともあったり、自分の立場を受け入れたくないと思うこともいっぱいありました。でも、今思うと浪人して良かったなと思います。

荒:浪人して良かったというのは僕も同感です。もちろん現役で受かりたいと思っていましたが、運がいい事にサポートしてくれる両親と良い仲間に恵まれたことで、充実した時間を過ごせたと思います。この時間は、もう一生味わう事が出来ないだろうと思います。まぁでも現役で受かる事にこしたことはないと思いますけど。(笑)

冨:そうですね。というわけで、すいどーばたで様々なことを学んできた荒木先生、これからの講師としての意気込みを!よろしくお願いします!

荒:みんなが前向きに実技に専念できるようにサポートしていきたいと思いますので、何か悩みがあったりしんどい時は気軽に相談してください。
一緒に頑張りましょう!

冨:荒木先生、ありがとうございました!