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2019年10月19日

●2019全国公開実技コンクール特集!

「インタビュー企画第37弾」
 2019全国公開実技コンクール特集

                       担当 小川


ーすいどーばた美術学院講師9名の採点総評コメント掲載ー
各講師から、今回の公開コンクールについての総評を書いてもらいました。
それぞれの言葉をしっかりと受け止め、今後の制作の参考にしてもらえればと思います。




文章が送られてきた順に掲載します。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 田中地平

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みなさん、お疲れ様でした。

自分の描きあげたときの実感と実際の評価はどうだったでしょうか。画面から熱量が伝わってきました。しかし、ヘルメスはただ描けばいいというモチーフではなく、印象を合わせるにはしっかりと観察をして自分の仕事が的確かどうか慎重に判断しながら進めていかなければいけません。ただ6時間の中で焦って完成に向かっているだけでは炭が濁り形も癖っぽくなっていくでしょう。では、6時間の中で画面の中で再構成しながら印象を合わせ、完成させられたデッサンが何枚あったのか、、自分は3枚しか目に付きませんでした。

B°の評価がついたデッサンは例年に比べ少なかったように思います。正直残念でした、B°の中盤からBの数・質は物足りないなと思いました。みなさん、もっと頑張りましょう!!

冬も近づいてきて焦りも出てくるでしょうがいっぱい実技をしましょう。周りの人に比べて劣等感を持っている人もいると思いますが、今ある実力差なんてこれからの頑張り次第でどうとでもなると思います。

人よりも実技をしましょう!放課後や授業前に自分の課題に取り組みましょう!人よりもやらなければ芸大には合格しないです!!とてもシンプルだと思います!!


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 秋吉怜

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みなさんお疲れさまでした。
しっかりモチーフと、自分の絵と、格闘しているなと感じました。自己満足の表現ではなく、観たものに謙虚に近づけようとしているデッサンが多く、好感が持てました。

上位のほうは炭も澄んできて見やすいデッサンが並んだのも良かったです。
ただ、もっと完成度の高いものが並んでほしいとも感じました。格闘して終わるのではなく、モチーフや絵をコントロールしきったものが出てくると良かったです。
捉え方や観る姿勢は確かのものがついてきています。あとはそれを表現する力をどこまで高められるかが、大事になってくるでしょう。

下位のものも戦っているのは感じるのですが、単純に見づらい絵が多いと感じました。デッサンは結局は光を使って描くものなので、もっと光と仲良くなれるといいですね。


すいどーばた美術学院 彫刻科主任 西島雄志

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皆さんお疲れさまでした!
ヘルメスは過去に芸大で6回出題されている常連のモチーフです。
動きの方向が複雑ですが、その要素をしっかり理解して捉えると、すごくカッコいいデッサンになります。
今回の皆さんのデッサンを見て感じたことは、まだその要素を捉え切れていない状態で見えたものを即物的に描いているように思います。それ故にズレて欲しくないポイントや表情が大事な要素に乗っからなくて違和感となっています。
デッサンをする前段階として、いかにモチーフを観察するか。その観察とは彫刻の言葉になっているのか。その辺りがこの先デッサンをしていく上で重要となります。

要素が多いと複雑で難しく感じるかもしれませんが、実は逆で、要素が多ければ多いほど、お互いの関係性が多く出来上がるので、捉えやすいのです。
だから、シンプルな要素のモチーフのデッサンの方がむしろシビアさは増してきます。

皆さんは、モチーフから感じ取った感動を分析していますか?
何故、感動したかには必ず理由があります。その部分をしっかり理解出来ると良いでしょう。

残り4か月は、まだまだ長い。
時間をかけて心と身体を一体化させてください。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 小川寛之

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皆さんお疲れ様でした。

これだけ大人数になると、感覚的で魅力的な絵、優等生な絵、荒削りで尖った絵など色々な作品に出会うのですが、今回はちょっと物足りなさを感じます。

各研究所でまずはしっかりバランス感覚、観察眼を鍛えて直してください。
そして、美術ですから最終的には魅力のある絵、または自分の理想とする絵に出来るよう頑張ってください。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 阿部光成

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公開コンクールお疲れ様でした。

まずはアトリエに入った時の第一印象ですが、目に飛び込んで来る実技が少ないと感じましたね。

形の精度、顔面の印象、炭の響き合いなど調和のとれた実技があまり見受けられませんでした。

日々皆さんはアトリエで実技に没頭しているでしょう。ではアトリエの外ではどう過ごしていますか?

本物を見る機会はありますか?
作家の作品を見て下さい。彫刻はもちろん、それ以外もです。

絵画のハッとする色彩や考え抜かれた構図。

日本画の選び抜かれた線の美しさ。

工芸の素材の活かし方と密度の高さ。

骨董なども良いでしょう。

そこには今皆さんに繋がる要素が沢山あります。

外に出向き行動をして下さい。モノを見る目を養い、美意識を骨太にしてください。

そうやってさらに良い実技を目指して下さいね。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 三上晏子
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皆さんお疲れ様でした。
モチーフをどのように見たか、理解したかがデッサンに出ると思います。
自分なりに理解するために、自分なりの動きをすると良いと思います。

今回のコンクールでは、像に迫れているものは少ないと感じました。
冷静に自分が描いているデッサンを見る時間を作ってあげましょう。
そして判断していきましょう。判断力は普段の実技でつける事ができます。

残された時間、意味のある時間を過ごして欲しいなと思います。
健闘を祈ります。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 足立仁史
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皆さんお疲れ様でした。

いつもと違う状況での製作は思い通りにいかないことが多いと思います。緊張しないようにしてもなかなか上手くいきません、緊張している時に自分の長所、短所がどう実技に影響するのか自分自身のことをよく知り、対応していくことが大切ですね。
モチーフを観察、理解し、それを画面上に再現する、やることいたってシンプルです。同じ事の繰り返しに感じることもありますが、新たな発見もあります。粘り強く実技に向き合って行きましょう。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 小野海

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みなさんお疲れ様でした!
いやぁ、aが出ませんでしたね?

実は最近、すいどーばたの普段のコンクールでもデッサンでaは出てません。
みんな頼むよマジで!こっちの準備はできてるよ!


じゃあ何故a以上の評価が付かなかったのか?
僕が思うに、B°ランクどまりのデッサンというのは彫刻科にしか分からない観点で描かれているデッサンです。
彫刻科の講師なら評価するけど、彫刻の勉強をしたことがない人には何が良いのかさっぱり分からない、そういうデッサンはa以上のランクになれません。

大学の彫刻科に行こうとしてるんだからB°で良いじゃないか!と思う人もいるでしょう。
ですが、少し考えてみてください。
みなさんが一生懸命石膏像をデッサンしているのは何のためですか?
上手に石膏像を描くため?受かるため?…合格がゴールではないことは確かですね。


デッサン力は「見る力」です、そして判断力。描くという行為はその次にあります。

僕は今23歳です。デッサンを始めたのは高1なので、デッサン歴は8年くらいですね。
そして、変な言い方になっちゃいますが
人間には目があるので僕も生まれてこの方ずっと目を使ってモノを見ながら生きてきました。つまり見る歴は23年です。だから僕はデッサンを描くときにはここ8年で得た「描く力」ではなく、知らず知らずのうちに23年毎日培ってきた「見る力」でデッサンを描きます。
この「見る力」に関してはみんな自信を持って下さい。だって起きてる間はずっとやってんですから、日々強化されていきます。

余談ですが、むかし彫刻の講師に誉められた自画像を親戚のおっちゃんに見せたら「なんか50代に見えるわ、あんま上手じゃないな」って言われたことがあります。たぶんおっちゃんはデッサンなんかしたことないけど、そん時にハッとしたんです。俺はデッサンを彫刻の専門知識で描いてるかも。
おっちゃんは見る歴60年くらいかな。そりゃ僕が気付けないことに気付けるわけですよね。


みなさんは今回デッサンを描いていた6時間、「描く力」と「見る力」はどんなバランスでしたか?
画面を木炭で塗り潰すことに必死なっていませんでしたか?
しっかり見て判断すればきっともっと良い絵が描けると思います。B°とaにそんな難しい差は無いと思いますよ。

もっともっと熱い作品を期待してます!


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 アイザック レオン

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焦ったのか?緊張したのか?

アトリエに入って並べてあるデッサンを目にしたとき、ヘルメスどうこよりも画面から見えてくる皆さんの姿勢が気になりました。構図が明らかに悪かったり、狂いが多いままどんどん描写してしまってたり、画面からは冷静な判断を感じられませんでした。
確かにヘルメスは難しいし、公開コンでは人数が多くて結果を出すことにプレッシャーを感じることがあると思いますが、実力は状況と場を選んではいけません。
焦りを感じたらまずは手を止め、とにかくモチーフを見ましょう。そして、画面とではなくモチーフと向き合いましょう。画面はモチーフの観察から得た情報をメモするところです。メモした情報がちゃんと対象に近づいてるか、一致してるか、確認をいっぱいしてください!

失敗は悪いことだと思いません。むしろチャンスです!実技中の姿勢と判断力を見返してみてください。悩んでる暇はありません、この結果をどう変えていくかは皆さんのメンタルと努力次第です。

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受験生の皆さん、コンクールお疲れさまでした。
以上9名の講師の総評でした。心に留まる言葉があれば、大切にしてください。
残り4ヶ月、しっかり力をつけましょう!

2015年05月18日

●新たな講師 荒木秀造先生に聞く!

2015年度より新たなすいどーばた彫刻科講師として加わった荒木秀造先生にインタビュー。

現在東京藝術大学彫刻科に在籍中の荒木先生。浪人時代の話から試験の話まで、いろいろとお伺いしてみました。
インタビュアー 冨田佳菜子


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冨田(以下:冨)わたくし冨田と共に浪人し、現在は東京藝術大学彫刻科4年に在学中の荒木先生です。それではいきなり質問ですが、荒木先生はなぜ彫刻という道を選んだのですか?

荒木(以下:荒)もともと油絵を高校の時専攻してました。三年の春に東京に出て、某予備校の春期講習に通い、「なんか魅力ないね。。」と先生に言われ、半泣きで兵庫県に舞い戻りました。
東京コワイ...油絵コワイ...絵、描きたくない...
ん?
でも立体なら見たものをそのまんま形にすればいいぞ。360度ちゃっかり作ればいいんだ。
よし!彫刻をしよう!
という流れで彫刻を選びました。

冨:そういえば現役生のころ、溶けた食パンのようなものが描いてある油絵を見せてもらった記憶があります、、。とはいえ無事に彫刻科で芸大に合格した荒木先生、大学生活はどのような感じなんですか?

荒:楽しいですね〜

冨:おお、充実しているようですね。ではどんな制作を普段しているんですか?

荒:学校では木彫をしてます。木は温かみがあって、好きです。
学校以外では、最近フィギュアの勉強をしています、家で。

冨:なるほど、今後もフィギュアの仕事をやっていくつもりですか?

荒:そうですね。今年の夏にはワンフェスにも出展する予定なので、是非来てください。
ちなみにワンフェスとは、ワンダーフェスティバルといって、素人の人からプロの原型師まで経験を問わず参加する事のできるフィギュアの祭典で、企業ブースではまだ発売されてない商品なども展示さてれいたりするので、興味ある人は是非、札束を持ってきて下さい(笑)

冨:札束ですか!

荒:入場料で二千円飛びます(笑)

冨:なかなか高いですね。。。価格帯ってどのくらいなんですか?

荒:小さいものだと1,000円台〜買えます。が、六分の一くらいの人体サイズであれば一万円は軽く越えます!
日にちは7月26日。

冨:話が大幅にそれてしまいましたが、さて、いよいよ浪人時代についてお聞きしていきたいと思います!
荒木先生は、どばたで何年間勉強したのですか?

荒:2浪しました。詰まる所、二回落とされた、ということですね。(笑)

冨:2年間を振り返ってどうでしたか。

荒:実技に対するストレスだったり、不安感だったりはあんまり感じることは無かったです。ただ、家にネズミがわいた事が大きなストレス兼寝不足に繋がっていました。実技に関しては、毎日買い上げ作品を出すつもりで、昼飯を食わずにぶっ通しで制作をすることもよくありました。実技がダメな日は、そんな日もあるさ!と友達と遊び、実技がいい日は、俺天才!と自らを褒め讃え、心がぶれないように、実技を毎日楽しめるように、心掛けて日々過ごしていました。

冨:いいですね〜。では、最後の受験はどのような心持ちで迎えたのですか。

荒:いつも通りであることが、一番大事なのではないかなと思っていました。決して神に祈らぬと心に誓い、いつも通りの実技をして帰ってこれば、必ず受かっていると、そういう心持ちで受けてきました。
やたら多いやん?試験前に限って、神社行ったり、ジンクスに頼ったり、、、そういうのって、自分のこれまでの一年間を否定してしまっているように僕は思うので、自分の足で通って自分の目でみて自分の手で表現してきたわけだから、それ以上に信じられるのは何も無いと。
だから、神に祈るなと。僕は言いたい。
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冨:私も、そんな感じでした。とにかく自分を信じて、受かる自分を想像して、毎日過ごしていましたね。

荒:冨田先生は、すごくストイックで完璧さを追求してたイメージがあったんですけど、その精神面と体力面で、モチベージョンを維持する為に、どういうことを意識してたんですか?

冨:うーん。私は完全に精神論でしたね。風邪はひかないと思えばひかないし、自分が描けると思えば、描ける。それと、恐がりだったので、落ちるのが怖くて、手が止められないというのもありました。

荒:すごく納得です。

冨:なので、浪人するということは辛いこともあったり、自分の立場を受け入れたくないと思うこともいっぱいありました。でも、今思うと浪人して良かったなと思います。

荒:浪人して良かったというのは僕も同感です。もちろん現役で受かりたいと思っていましたが、運がいい事にサポートしてくれる両親と良い仲間に恵まれたことで、充実した時間を過ごせたと思います。この時間は、もう一生味わう事が出来ないだろうと思います。まぁでも現役で受かる事にこしたことはないと思いますけど。(笑)

冨:そうですね。というわけで、すいどーばたで様々なことを学んできた荒木先生、これからの講師としての意気込みを!よろしくお願いします!

荒:みんなが前向きに実技に専念できるようにサポートしていきたいと思いますので、何か悩みがあったりしんどい時は気軽に相談してください。
一緒に頑張りましょう!

冨:荒木先生、ありがとうございました!