2018年10月アーカイブ

2018全国公開実技コンクール特集!

「インタビュー企画第35弾」
 2018全国公開実技コンクール特集

                       担当 阿部


ーすいどーばた美術学院講師10名の採点総評コメント掲載ー
各講師から、今回の公開コンクールについての総評を書いてもらいました。
それぞれの言葉をしっかりと受け止め、今後の制作の参考にしてもらえればと思います。




文章が送られてきた順に掲載します。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 篠塚未来

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皆さんお疲れ様でした。

いつもより良く描けた人、描けなかった人それぞれいると思います。
あまり良いデッサンが描けなかったとき、苦手な位置だった、光が悪かった、場所が狭かったなど色々な言い訳が出来ます。私が受験生の時も言っていました。でも、それはきっと単なる言い訳で、本番はそれを自分で良い条件に変えなければ行けません。そのためには、どれだけ先入観を捨て素直にその石膏像を観察することが出来るか、それが重要だと思います。そして、それが一番難しいことなのかもしれません。

これから1次試験まで、長いと思うか短いと思うか、それも自分の気持ち次第です。頑張っていきましょう。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 秋吉怜

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みなさん、お疲れさまでした。

今年もたくさんのデッサンが並びましたが、ずっと観ていたい・観ていられるものは1枚もありませんでした。
コンクールですので当然順位が出ますが、上位と下位でそれほど差はないように思います。構図が良くない。動きが出せていない。印象が合っていない。それらが出来ていても、観る人に訴えかけてくるものがない。そういったズレをどれだけ減らせたかが大事なのですが、上位のものでもまだまだダメですね。当たり前のことですので、当たり前にできるようになってください。

とはいえ、試験までまだ4ヶ月あります。落ち込むことは時間のムダですので、反省だけにして、今回の結果を上手く活かしてください!


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 小野海

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みなさん、絵を描くこと楽しんでますか?
自分の生み出した画面に感動してますか?


今回の公開コンクール全体の印象としては、もっとブルータスを正しく理解して捉えられてるデッサンが増えて欲しい!です。
この時期に構図なんかミスってたらアカンで!!それから量・動き・構造。
みんな彫刻科なんやから、もっと確認して合わせましょう。

とは言ったものの、僕が思うにそれらは裏付けであって目的ではないと思うんです。
どうすれば人の心に残る絵が描けるのか、どうすれば自分の内側を他人に伝えられるのか。その方が大事な気がします。
今回aランクが出なかったのは、それからやたらBランクが多いのはその辺りが理由なのではないでしょうか。

もっと大きなモノの一部になってください。

研ぎ澄まされた作品には情熱と配慮が必要不可欠です。
僕は石膏デッサン大好きです、今でもデモストしながらデッサン楽しくて仕方ありません。
この僕の目の前に広がる当たり前で些細で美しすぎる出来事を、まだこれに出会えていない人にどんな言葉で伝えてやろうか......ニヤニヤ。こんな感じ。
感動が伝わってこない画面に共感は生まれない、その代わりにめっちゃ粗捜しされます。
みんな彫刻家なんやから、もっと愛で伝えましょ。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 小川寛之

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お疲れ様です。
今回のコンクールの全体の印象は、まだ10月で荒削りながらも自分らしい「絵」というものが多く見れて良かったのですが、大半は描く行為が強い反面、見落としている点も多かったのかなと思います。
私の採点基準は、構図、印象、動き、形態、調子の美しさ、描き込みの魅力、空間意識の7つをポイントとして、それらのバランスを見ながら採点しました。
この時期に確認しておきたい大切なポイントでもあります。
自分自身の「デッサンの基本」をこのコンクールをキッカケに確認してみて下さい。
入試まで時間はまだあるので、焦らずじっくり自己ベストを日々塗り替えるような心持で、そしてまた新たな発見を楽しみながら制作に取り組んで下さい。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 田中地平

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おつかれさまでした。
 
今回自分は採点に参加したわけでは無いのですが採点の様子を見させていただきました。感じたこととしてはぱーっとみてもいいなあと思えるデッサンはあまり無かったので、今回の公開コンは厳しいなあと感じました。

また、黒いデッサンが多かった(消化しきれていない炭が残っている)ので、あまり空間が広がっていくような魅力を持ったデッサンがなかったし、形や構図もまだまだでした。

いい構図でかけていなかったり形が合っていなかったりするのでそういった印象なのは意識をもってやってないかそもそも気づいていないか、だと思うのでいい構図でかくとか形をしっかり合わせるというのはもっと意識もってやってほしいです。
しっかりとした構図でかけば、当然いい見え方になって形も合いやすいし気持ちよくかき進められるので本当にもったいないと思います。構図がダメな人はデッサンの出だしの時間帯の仕事が甘いのかも知れません。

あとは、もっと自然に見えてくるデッサンが出てくると良かったです。自然に見えるデッサンというのは、構図、像の構造、動き、光の方向、グラデーション、顔の印象、空間、形などがいいレベルでかみあっていてどれかに偏っていないものだと思います。
まだ6時間という時間になれておらずどれかが出来ていなかったと思うので、自分がどこが出来ていなかったのかをしっかりと認識してほしいです。
この時期に公開コンクールをやる意味はそこにある気がします。
この時期に完璧なデッサンができる人はそうそういないと思います。この時期に一度試験を模したものをすることで自分はどこが足りていないのか、プレッシャーがかかる場面で普段の力が出せるのかどうか自分で自分を知る場だと思います。
今回よい結果だった人もより高みを目指して欲しいし、結果が振るわなかった人もこの結果を踏まえてどうするかの方が大事だと思うので悔しさをバネにこれからの実技にはげんでください。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 三上妟子

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皆さんお疲れ様でした。

モチーフを理解、把握するためには色々な見方が必要です。
それは、人それぞれ少しづつ違ったりすると思います。自分なりのモチーフとの向き合い方をして下さい。
まだ時間はあります。片っ端から自分にとってプラスになる事をやっていきましょう。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 アイザックレオン

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ぱーと全体を見渡して目に止まったデッサンは2枚程度でした。その2枚もじっくり見て行くと気になってしまうところがどんどん出て来ます。
ブルータスの量、動き、面の構成をしっかりと捉えているデッサンがなかったと思います。
この時期6時間で精度と完成度を上げて行くのはハードだと思いますがもっとモチーフを理解し、要所をしっかり押さえられるよう実力を付けてください。

試験まで時間はたっぷりあります。諦めずに自分の実技と向き合ってください。その瞬間に見えてなくても続ける事で発見できるものは多いです。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 主任 西島雄志

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デッサンを何故するのか?
根本的な問いですが、ちゃんと答えられる人がどのくらいいるだろうか?
試験に出るからという人もいるかもしれない。目の前のものを説明する力が必要だからと考える人もいるかもしれない。構造を理解するためとかもあるかもしれない。

私は彫刻家としてどう思うかというと、「考えるため」だと思う。
彫刻家は文字を使って考えたり計算して考えたりするのではなく、デッサンをして考えるんだと思う。デッサンは彫刻家にとって言葉や文字や数字の代わりであり、全身全霊で感じ取ったことや考えたことを描き留めておく手段なんだと思う。そしてデッサンしては考えて、またデッサンをする。そうして考えを広げたり深めたりする。そうしているうちに同じものを見ていても見えてくるものが変わってくる。そして目と手と思考が結びついていく。
元々は人に見せるためではなく、自分を深めるためだし探求するものだ。
そう考えると出て来たデッサンは良いも悪いもその人そのものということになる。その人の今現在の状態を現しているということ。怖いですよね。デッサンはものすごく雄弁ですから。デッサンは嘘つかないし。

今日の自分の描いたデッサンを見て、自分自身どう思いますか?
何故デッサンしたのですか?
また、この先どんな未来を見たいですか?

私はいつも皆さんのデッサンを通して皆さん自身を見ていますよ。
デッサンって面白ですよね。

あまり総評になってないけど、総評考えてて思ったことなのでこれが総評なのかな。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 阿部光成

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スモールaが出なかったのは残念ですね。それは上位から輪郭も合っているデッサンが少なかったからでしょう。

ブルータスを捉えられきれなかったとも言えます。

今回は一枚の絵になっているどうかで優劣が決まった感じがします。

理想としてはモチーフのブルータスから構造の成り立ちや形の発見をする意識と目でしょう。

しかし慣れ親しんだブルータスゆえ、改めてその彫刻の解釈よりも目の前の物体の再現に頭が働いてしまったように思います。

絵になっているかどうかで優劣が決まったと思ったのはそういう事です。

もちろん絵心は大切です、しかしそれだけではありません。

もう一度素描とは何かを考えてみて下さい。これは受験生に限っての話ではありません。

今回の結果の受け止め方次第で今後が変わると思います。頑張って下さい。


すいどーばた美術学院 彫刻科講師 足立仁史

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みなさんお疲れ様でした。
今回のコンクールは例年よりもデッサンのバリエーションが豊富に出てきた反面、上位の作品でも精度は物足りなく感じました。中盤以降は攻めきれていない中途半端さがあるものが多くなってくるように思います。

普段と違う緊張感の中で自分の出来たこと、出来なかったことを判断すること、多くの作品が並んだ中で自分のデッサンがどう見えるかなど公開コンクールだから感じられることを今後の自身の成長に繋げて下さい。

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受験生の皆さん、コンクールお疲れさまでした。
以上10名の講師の総評でした。心に留まる言葉があれば、大切にしてください。
残り4ヶ月、しっかり力をつけましょう!