2015年全国公開実技コンクール特集!

「インタビュー企画第29弾」
 2015全国公開実技コンクール特集

                   担当 山口
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公開コンクール終了後


--すいどーばた美術学院講師8名の採点総評コメント掲載--
毎年公開コンクールの講評時には、時間の関係で講師一人一人から総評をお話頂く事が出来ません。そこで今年もコンクール採点直後に各講師からコメントを頂きましたので掲載したいと思います。共通する事、個人個人で異なる事等様々な内容の講評があります。
是非参考にしてみて下さい。

文章は、送られてきた順に掲載してあります。


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すいどーばた美術学院講師 山口諒子
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みなさん、公開コンクールお疲れ様でした!

今回は、彫刻科ではモチーフとしてよく登場するブルータスでした。
見慣れたモチーフ故に、慣れで描く事の無いよう注意し描き進めたいですね。しっかりモチーフを観察できましたか??

沢山の作品が並んだ中で、目をひきつける要素は様々です。自分が見せたいものは何なのかを決めて制作する事はとても大切だと思います。
ですが絵作り、見せ場にとらわれすぎて全体の印象や構造から離れていっている事に気がついていない作品が、まだ多いように感じます。

この時期の6時間デッサンにしては、全体的によく手が入っています。今、手数で何とか絵にしている時間を、少し冷静に絵を見る時間に回してみて下さい。

自分のデッサンだけでなく、他人のデッサンもよく見て、どんなところが良くてどんなところが悪いのか分析してみて下さい。
だんだん自分のデッサンも客観的に見る事ができるようになりますよ!

試験本番まで4ヶ月です。残りの時間を有意義に使って下さいね。





すいどーばた美術学院講師 西澤利高
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皆さん、お疲れ様でした。
今回はブルータスを木炭素描をしましたが、全体の印象としては悪くはありませんでした。しかし採点をする段階で思ったことは絵作りに集中しすぎて正確さという精度に物足りなさを感じ得ず、これぞというものが少なかったと思います。
やはり描写作業ですので第三者に訴えかける作品力はある一線を超える何かが大切になってきます。
それはきっと「人並み」では無力で極端なこだわりにしろ集中力にしろ並外れた領域を目指さないと表現できないことなのでしょう。
方法論は人それぞれなので自信を持ってしっかりと入試までの時間を過ごしてください。
健闘を祈ります。





すいどーばた美術学院講師 荒木秀造
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皆さんお疲れ様でした。
全体の印象としてはそれぞれに熱気を持って闘っているのは感じますし、光るも
のを感じるデッサンも多くみられました。ただ落ちついて見ていられる デッサ
ンはまだまだ少ないなと思いました。ブルータスのどっしりと胸を張った佇まい
や、全体の量感をしっかり感じられるデッサンがもうすこし欲し かったです。
デッサンはモチーフに合わせて常に変化していくものだと僕は思います。皆さん
は今回の実技、モチーフをどのように捉えましたか?
公開実技コンクールは環境、人数、採点形式も含めていつもとは違う状況のなか
で自分の力をどこまで発揮できるかを試す良い機会です。
自分の実技はいつもとどう違ったか、冷静でいれたか、気持ちで負けていたか
勝っていたか、もう一度思い返して次への課題にしていってください。





すいどーばた美術学院講師 冨田佳菜子
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ことわざのひとつに木を見て森を見ず、という言葉があります。
これは言葉の通り、細部にとらわれ過ぎていて全体感を意識できていないということわざです。
戒めのような言葉ですが、ではどうして細部に熱中していてはダメなのでしょうか。全体を意識しなければならないのでしょうか。
それは、全体が見えてこそ、そのものの美しさや良さに気づけるから、だと私は思います。
富士の樹海にある木を見て、富士山の美しさを感じられるでしょうか。
木を一本描いて、それが富士山だと他者に伝えられるでしょうか。
それはとても難しいことだと思います。
細部の表現が良くても、ブルータスの細部として描けていなければそれはブルータスの絵ではないのです。

今回のデッサンの印象としては、頭部の量感や印象がしっかりつかめているデッサンがあまり無いなと思いました。
量感の強さというブルータスの持つ魅力を、もっと感じて欲しいと思います。





すいどーばた美術学院講師 小川寛之
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皆さん、お疲れさまでした。
すいどーばた美術学院の学生も意気込んでいたので内容と結果をとても楽しみにしていましたが、全国的に見ても、もっと静物デッサン的な関係性で捉えていくバランス感覚を鍛えて欲しいと思いました。
加えて、彫刻科としての要素である、構造で人物を捉えているか、その像の印象が明暗と共に立体表現されているか。
トップのデッサンはただ普通にそれが出来ているのです。
今年のコンクールはこの1位の上のレベルの作品が見れなくて残念です。
短時間制作ですので多少の破綻は付きものですが、最終的に作者の実力の良い部分が優って見えてくる作品にして下さい。





すいどーばた美術学院講師 足立仁史
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ブルータスらしさとはどんな事なのか、モチーフの特徴を見極めてそれに対する仕事が積み重ねられているか。

描きあげることにとらわれ過ぎずにもっとじっくりと対象と向き合う時間を大切にして下さい。

皆さんお疲れ様でした。





すいどーばた美術学院講師 西嶋雄志
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全体に頑張っている作品が多いという印象を受けましたが、厳しく見るとレベルが高いといえる作品は少なかったです。
ブルータスの印象をとらえているのは1位の一点のみ、形が正確なのは4位の一点のみだと私は思います。
その他の作品は個性的なタッチで魅力的なものや雰囲気が良いものもありましたが、ブルータスのデッサンとしてみると不足しているものが多かったです。

昨年の芸大合格者22名のうち19名は公開コンクールに参加していましたが、6割程度が30位くらいの中から合格しています。
しかし、100位くらいからも合格者が出ているのも事実としてあります。
現時点の自分の状況をどのようにとらえ、今後の4ヶ月をどのように過ごすことが出来るかどうかで、まだまだ変わると言えます。

彫刻の面白さをますます学び、造る喜びをより体験し、彫刻とは何か?を自分なりに答えを探してみてください。
その通過点として受験を乗り越えていって欲しいと思います。





すいどーばた美術学院講師 阿部光成
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「う〜ん a(スモールA)が出て欲しかった」


今年のすいどーばた彫刻科の課題はブルータスでした。王道ですね。エキセントリックなことは何も望んでいない課題です。ただこつこつと努力した力で、こつこつと描き上げる。

彫刻科入試の課題では主に、基礎力を見たい、発想力を知りたいといった二つの内容を合わせています。ですので基礎力を一次の課題に充てるは自然です。そう思うとやはり基礎力を見たいモチーフの作者ミケランジェロは偉大ですね。

さて、どうして今回aの評価出なかったのか?僕の中では出せる基礎力を持った学生が居たと思うのですが。なにをしても上手く行く、GOODの神が降臨してきたような、そんなツボにはめられなかった事が今回の結果であるように思えます。何かを手繰り寄せる力がデッサンには必要です。スモールAにはそのような魅力が必要なのです。

そんな付いた評価を嬉しかったり悔しかったり、それは頑張った分だけ感情で受け止めてしまいますが、実は皆さんには順位以外にシールの色でも今の自分を冷静に分析をしてもらいたいです。

良い評価のシールの中での低いシールが貼ってあったり、悪い評価の中で良いシールが貼ってあったり、シールの色が同じだったり。8人の講師がそれぞれの視点から張ったシールの多様は参考になると思います。またこの公開コンクールで貴重に確認してもらいたい事は、多数の中で自分のデッサンがどう見えるのか?そんな観点からこの場を利用してほしいです。

関係ないようで、関係あると思うのですが、最後に読んでみて下さい。

「習い事は枠に入って枠より出でよ」 これは彫刻家 故佐藤忠良が生前忘れられないとして語っていた言葉です。

それと埼玉の秩父には天然氷で作るかき氷があります。これがなかなか溶けないのです。多分ゆっくり凍るから、ゆっくり溶けるのでしょう。

習い事と天然氷、2つのこと、デッサン力で是非繋げてみて下さい。


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受験生の皆さん、今年もコンクールお疲れさまでした。
普段とは違ったメンバーで臨むコンクールは、本番に近い緊張感のあるものになったと思います。
冷静に普段の仕事が出来た人、そうでなかった人も、改めて制作を振り返り本番に向けて調整していって下さい。

受験本番までの4ヶ月、伸びが楽しみですね!本番まで頑張りましょう!