2010年10月16日

●倍版と構成

今日のデッサンコースは倍判で色々なモチーフを描きました。サイズが大きいこともあって楽しく入り込みながらも、各人の課題を一歩踏み越えて、何か掴めたものがあった人が多かったように思います。

N.Nさんのデッサン
緻密に積み重ねた描写に冴えがあります。手前の膝から腰までの空間の表現が自然で良いですね。くびれ周りの回り込みがさらに欲しいです。
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A,Mさんのデッサン
これまでにない完成度で仕上げることが出来ました。白が飛んでしまう癖がありましたが、ハーフトーンの幅が広がり、形態と空間が見事に表現できました。この感じで行きましょう。
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R.Mさんのデッサン
こちらもまた、個人の課題を一つ越えたところで仕事が出来ました。逆光の調子が必然性を帯びたものとして形態に繋がり、響き合っています。台座がやや薄くなってしまったのが惜しいですね。
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こちらは構成課題です。牛骨、ロープ、リンゴかレモンがモチーフです。構成としてはみんな色々なパターンを考え「オッ!」と思わせるのが出てきました。もっとレベルを上げるには密度ですね。密度といっても単に上げていくと、説明的になったり、見せ場が沢山ありすぎてどこを見て良いのやら曖昧になったりと難しいです。なにを見せたいのか、イメージをしっかり持ちながら造り込んでいきましょう!
今回はみんな良い出来でしたので、全員のせたかったのですが、以下の数名で勘弁して下さい。

K.Yくんの作品
塑像板の大きさを見てもらえばわかると思いますが、巨大でマッチョな作品です。「食べすぎでしょ!!」と思わず言ってしまう所に作者のイメージの強さを感じてなりません。
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K.Hさんの作品
なかなかオシャレな作品ができました。牛骨の部分を使うことで軽快さを表現し、一見では分からないことで「何だろう?」と人に歩みを進ませる誘導ができましたね。
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R.Mくんの作品
こちらもイメージがしっかりしています。この中に堕ちたら二度と出られなそうな恐怖をおぼえます。
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K.Oくんの作品
彫刻は形を使って光や影をコントロールできます。牛骨の向きやふりをデリケートに扱い骨の持つ影の印象を最大限に表現できました。光と影を味方につけた好例だと思います。
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T.Aくんの作品
ダイナミックな構成でボリューム、内容とも充実しています。上に位置する下あごが漂う舟のように見えて空想が広がります。うーんロマンチック
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K.Sさんの作品
マッチョやボリューミーな作品が多い中、あえてシンプルな構成はお口直しの意味もあり、かえって目立つこともあります。わたしはこういう方向性でいくのよと無言の意思表示がこの作品の強さに繋がっているように感じます。
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ここにはピックアップされなかった学生も自分の課題に真摯に向かい制作をしていると感じます。季節の変わり目ですので体調に気をつけながら来週もがんばって参りましょう!!

2010年10月14日

●今日の優秀作品!

塑造は牛骨、ロープ、りんごorレモンの構成でした。前回の構成課題からの引き続きという事もあり、自分の力に合わせた構成が出来ていました。牛骨の存在が大きくなるため、塑造板に対しての3つのモチーフの位置関係と、牛骨の骨格的なバランスを合わせること、それぞれの質感表現をどこまで出来るかがポイントになります。

A.Mさん
全体の作り込みにはまだ弱さが見られますが、構成としてはそれぞれのモチーフに必然性を感じる事が出来、目を引くものとなっています。
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S.Aくん
見る仕事と作る仕事が直結しており、モチーフそれぞれの質感を、個人の実感が伴ったものとして表現する事が出来ました。
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こちらはデッサン ベルベデーレ、マルストルソ、うずくまるヴィーナスの中から一つ選んで倍版で描きました。全体的には大きな仕事を意識しているのですが、バランスがとれてるぞ!というデッサンは少数でした。その影響でしょうか?完成度はいまいちでした。普段倍判は扱わないので新鮮に取り組めますが、イベントで終わらないようにしたいところですね。そんな中で成長著しいデッサンを紹介します。

R.Nさんのデッサン
元来、描きっぷりの良さとそれによる画面の味わいが魅力のR.Nさんですが、骨格を含めたベーシックなチカラにやや不安要素がありました。今回はベースの仕事をしっかりした上での細部へのアプローチ、大きな仕事と細部の仕事のバランスが炭の色味の冴えにつながっていると思います。R.Nさんのイメージが素直に出ていますね。ナイスです!!

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T.Mくんのデッサン
目に飛び込んでくるインパクトは強烈ですが、空間や自然な現象が拾いきれずいつも悔しい思いをしていたT.Mくん。ですが今回は違います。エネルギッシュさはそのままにモチーフからの繊細な現象を拾い始めました。こうなってくると画面が豊かにしゃべり出しますね。強くそして繊細に=最強です。

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制作風景

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円盤もかなり完成度が上がって来ました!!

2010年10月09日

●構成課題

本日はクラス合同で構成課題をしました。(与えられたモチーフを3つ選び自由に彫刻しなさい) リンゴ、紙袋、ロープ、レンガ、マスク色々、自分の手……などなどたくさんのモチーフの中から選んで構成しました。自分で選ぶと自由度が広がり構成がしやすくなります。はじめのエスキース、制作途中での確認の仕事、モチーフを観察を通しての造り込み。色々な注意点があるなか今日はどんな作品ができたでしょうか?

M.Mさんの構成
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E.Tさんの構成
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A.Sくんの構成
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A.Aさんの構成
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R.Mくんの構成
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S.Gくんの構成
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A.Mさんの構成
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S.Aくんの構成
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K.Hさんの構成
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今週も素描道場が開かれました。時間外でやっているのでみんな真剣度が増しています。回数を重ねるごとに濃密になる予感がします。こちちも引っ張られるように熱気がこもります。

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2010年10月07日

●ヘルメス、アバタのビーナス

今日のデッサンチームはヘルメスでした。有機的で柔らかい動きが特徴のモチーフですが皆さん楽しんで迫れましたか?

K.Mさんのヘルメス
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印象がゆったりとしてきましたね。頭部のところはまだ2次元的な所もありますが、スッと見られる画面に好感が持てます。よくなってます!!

N.Nさんのデッサンです。
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頭部の白い部分の形がややあっさりしていますが、手前の胸の描写などはヘルメスらしさを引き出す描写になってきました。「モチーフらしさのある臨場感」をこれを機会にものにして欲しいですね。

今日の塑造はアバタの模刻でした。頭部と顔のバランス、伸び縮みの動きやねじれ、心棒からの空間、張りや存在の追求など、小さいモチーフですが盛りだくさんです。まだまだ意識していって下さい!

M.Aくんのアバタ塑造
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頭部の詰めがやや弱いですが、柔らかく仕事が出来ています。

S.Sさんのジョルジョ塑造
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肩の関係性や首の入り方など動きに敏感に反応出来ています。

H.Gさんのアバタ塑造
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全体感はありますが、大きな面やメリハリがもっと意識出来ると良いですね。

●ビーナスの模刻

彫刻科のY,Uくんの造ったミロのヴィーナスの模刻がすいどーばた美術学院の全体のポスターになりました!!スバラシイ!
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自主課題でのぞんだ模刻ですが、完成にいたるまで紆余曲折がありました。本人からの談話が届いていますのでそちらをどうぞ!!

○いや〜Y.Uくん凄いですね。ポスターですよ!ここまで造るのに苦労もあったかと思いますが、造っている時はどんな所に注意しましたか?
Y.U そうですね。量感の強いモチーフだったのでそれに負けて量感が乏しくならないように気をつけました。
○シンプルな注意点ですね。さすがです。そこを外すと彫刻として弱くなってしまいますからね。ではやってみて勉強になったところは?
Y.U 勉強になったところで言いますと、ミロのビーナスは普段見る石膏像の中でもより三次元的に動いている像なので、その動きを理解して対応する力を身につけるための勉強になりましたね。
○大変だったこと、苦労したこと?
Y.U ありますね。一度完成してから撮影までの間に少し時間が空いたんですけど、頭部が落ちてしまってその部分を一から造り直した事です。(苦)
○それはあけてビックリですね!!想像しただけでも恐ろしいです…… では最後に現在円盤投げの全身模刻に挑戦していますが、抱負をひとつお願いします。
Y.U モチーフがさらに大きくなって勢いを増しているので、最後まで守りに入らず攻めの姿勢でいきたい!
○Y.Uくん勢いのあるコメントありがとうございました。引き続き頑張っていきましょう!! 
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2010年10月05日

●アバタの模刻

今日は塑造チームはアバタのビーナスでした。
塑造強化の成果が少しずつ出てきましたね。攻めている作品が出てきたので紹介します。

K.Nさんの塑造です。
頭部の量がやややせてしまいましたが、顔面の似せ具合、頭部への手の入りなどは充実していますね。
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N.Nさんの塑造です。
やや印象に硬さは残しましたが、全体のバランスや印象、作り込みなど総合的に良いバランスで作れていますね。最後まで柔らかい動きをおっていって下さい。
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2010年10月02日

●今日も盛りだくさんでした!

今日の課題は、アムールデッサンと友人像でした。

N.Nさんのデッサン

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少し、首の入りが弱いですが、光を意識しながらアムールらしいねじれに反応出来ています。

R.Kくんの塑造

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完成度があります。しっかりとイメージを持ちつつ全体感と細部のバランスが上手く絡んでいます。切り取った空間も綺麗ですね。

S.Tさんの塑造

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大きく切り取ってきた所に責任感を持って仕事が出来ています。内面まで見えてくる様です。ここまで表現が出来てくると楽しいですね。

S.Sさんの塑造

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一周回して見てもしっかり観察出来ています。大きさに振り回されず素直に表現が出来ています。手の下に造った空間も効いていますね。

H.Gさんの塑造

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後頭部の形にもっとパンチが欲しいですが、前から見た印象はかっこ良いです!表現と友人の持つ雰囲気がビシッとはまっています。

A.Aさんん塑造

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頭部と体のバランスが無理なく見れています。背中側の形もしっかり追えていました。もっとおでこの形がギュッと詰まってくると良いですね。

講評の後に今日は、阿部先生の彫刻論が行われました。
夜間部の生徒も参加してくれていました!

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3年計画な彫刻論、今回は完結編。
大学2年生からの作品を振り返りながら、表現に向かう心境の変化や流れなどが聞け、石彫という一つのジャンルから、様々な部分へ広がっていく内容でとても勉強になりました。真摯に制作に向かう姿勢など、背中で語る部分に生徒も感化されていた様です!

つづいてコチラは秋限定で素描力強化を図るため、素描道場を開設しました!

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道場なんてなんだかおおげさですが、クラス関係なく、俺のあたしの素描はどうじゃ!!と僕ら講師挑んでもらうような企画です。モチーフ自体を自ら決めるところなど、実になる時間になればと思います。来週も待っています。簡単にはOKを出す気はありませんので、心してかかって来て下さい!!押忍!!

2010年09月30日

●今日は盛りだくさんでした!

今日はデッサンチームはアムール、塑造チームは友人像でした。そして各コースの講評が終わった後に氷室先生による彫刻論講義がありました。
デッサン、塑造とも10時間程度の中で頑張っていると思います。

S.Iくんのデッサンです。今回、初あずかりですね。春からジワジワと力を付けてきましたね。頭部の印象はもう一つ迫りたいですが、体の空間意識や触っていくような描写のつながりは良い魅力になっています。
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R.Mくんのデッサンです。明暗を劇的につかまえながら、ポイントをしっかりとつかまえていっています。細かな形ひとつひとつはまだ似せていきたいですが、大きな印象や空間が良いですね。
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K.Sさんのデッサンです。正面からアムールのゆったりとした動きを素直にとらえた作品です。最近、力が抜けてきて柔らかさが出てきましたね。
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こちらは友人像

K.Tさんの塑造です。全身をつくった珍しい友人像です。関節の位置関係や、軸のゆらぎなど人体の柔らかさをうまく引き出しています。作品全体の中での粘土の表現に幅が出ると良いですね。
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M.Sさんの塑造です。今回友人像ということもあって、完成のイメージを強く持って制作できたようです。帽子や目線など、どう見せていくかを考えられたことで、本来持っている組み立ての力がうまく出せましたね。
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A.Sくんの塑造です。大きく流れをみながら大胆に量を動かせました。二学期にこれまで取り組んだ軸の動きやスピード感を持って量をやり取りする仕事を友人像でも生かせました。髪の毛の仕事も大きなイメージをもってやれるとよかったですね。
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N.Sくんの塑造です。モデルさんの雰囲気をうまくとらえ感じをつかんでいます。
視線方向をうまく利用した作品ですね。
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M.Mさんの塑造です。
タップリとした量感を流れの中にゆったりと表現しています。頭部の雰囲気も良く、腰から入れた大きさが生きています。こういう何気ない雰囲気が出せるのは力のついた証拠ですね。
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講評後は氷室先生の彫刻論がありました。
予備校時代のデッサンから前回の二人展の作品まで流れでおいながら興味のある作家や影響を受けた作家について語っていただきました。
女性ならではの視点や感覚的なところを大事にしていることなど感じ取れるお話でした。
次回は阿部先生の彫刻論ですね。楽しみです。
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追加でもう一点。
課題外でしぶとく描いた自画像も預かりました。
全体感を配慮しながらデリケートに仕事を積みかさねたデッサンですね。
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2010年09月27日

●二学期最初のコンクール

デッサンはミロのビーナス(首あり)、粘土はブルータス模刻のコンクールをそれぞれ12hでおこないました。全体としてはトップグループで抜きにでる学生はいませんでしたが、実力が底上げされ、中盤から上位にかけて混戦している印象を受けました。特に模刻の採点は差を見出すのが大変でした。デッサンも夏季講習以来で久しぶりだったことを考えるとよいレベルで制作できたと思います。
以下上位のデッサンと粘土です。

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S.Tさんのデッサン
本人の課題とする描写はだんだん克服されてきました。質感や色味が増えてきましたね。構造的な理解と、その組み立てが今回の評価の1番の要因になりました。

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A.Sさんのデッサン
視点を感じる良いデッサンです。腰の側面部の押さえ方や胴体の繋がりには甘さが感じられますが、絵としての魅力がそれを上回りました。

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A.Sくんのデッサン
調子が綺麗で全体像がスッキリと見えるデッサンですね。形の抵抗感と動きの流れがもう少し欲しいという感じはしますね。

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N.Nさんのデッサン
逆光の調子を上手く拾い上げ、絵としての完成度が上がっています。正面から見たときの体の厚みなどにやや疑問を覚えますが、ここまで描ければ良いと思います。

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Y.Uくんの粘土
左右の頭部の量感と顔との繋がりに少し狂いはありますが、全体的に手の入った良い塑造となりました。

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S.Tさんの粘土
途中感ながら全体の中で一番ブルータスの印象と動きを捉えていました。もう少し頭部と首周りが押さえられると良かったですね。

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R.Kくんの粘土
印象は抜群でした!造り込みへの執念が感じられます。回して見た時の動きがやや固かったのが惜しかったですね。

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R.Mさんの粘土
粘土の表現にも幅が増え、課題としていた対象が持つ形の特徴も上手く拾い出すことが出来ました。左右の目が骨格的にズレてしまったのが惜しいですね。

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N.Nさんの粘土
派手さはありませんが、全体像に迫る仕事が出来ています。粘土にも厚みが出てきました。顔がやや大きくなってしまったのがすこし残念。

2010年09月18日

●吉田朗彫刻論とジョルジョ胸像模刻

今日は吉田先生の彫刻論がありました。
大学時代から現在まで制作してきた作品の紹介と、影響を受けた作家の紹介、そして最近気になっている作家を「モノ系」「インスタレーション系」「プロジェクト系」に分けて紹介。
彫刻を勉強していく先での、展開の可能性や視野を広げていく上でのキッカケになったのではないでしょうか。
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今日は、2週間に渡った模刻週間最終日!
ジョルジョ胸像模刻の作品を幾つか紹介します。
制作時間は4日半です。

K.Sさんの作品
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R.K君の作品
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A.S君の作品
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K.Nさんの作品
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今回の特訓でかなり力が付いてきました!